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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロポジション解消買い一巡!戻り売り優先の展開?

全般的に金融市場はバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長のジャクソンホールにおける講演待ちの状況であるが、一連の米経済指標の改善や、先に発表されたベージュブック(米地区連銀経済報告)で大半の地区が緩やかに拡大していることを背景に、追加の金融政策は実施されないとの見方が先行している。また、市場では月末を控えて、ポジション調整を踏まえて、ドルを買い戻す動きが広がりつつある。
一方、ユーロ圏では来週9月6日のECB(欧州中央銀行)定例理事会に焦点が絞られるが、目先の債券市場では、イタリア10年国債利回りは5.79%と上昇、また、スペイン国債もさえず、10年債利回りは6.62%と高止まりの様相を見せており、リスク回避の動きは健在と言わざるを得ない。また、当面、域内の円滑な供給資金確保のため、ECBは短期国債を購入する一方、中長期債に関しては、EFSF(欧州金融安定基金)が購入するとの案が浮上しており、ユーロの支援材料になっている。
他方、政策金利の面においては、ECBが日米と比較しても、ECBの利下げ余地を残しているため、徐々に、ユーロを買い上げる機運も失せはじめている。また、ここ最近のユーロの急ピッチの買い戻しの流れから判断すれば、ユーロショートの解消が一巡すれば、再度、市場のコンセンサスとしては、欧州財政危機を背景としたリスク回避の動きが強まる可能性があるため、ユーロの買い戻し以上に、上昇局面ではユーロの戻り売りが優先される可能性が強まっている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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