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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ECB債券購入計画進展見られず!ユーロ波乱含みの展開?

先にECBがスペインなど債務危機に陥ったユーロ圏諸国の国債利回りに目標水準を設定し、この水準を下回るまで流通市場で国債を買い上げることを検討しているとの報道を受けて、ユーロドルは底堅い展開を示しているが、ドイツ連邦銀行は欧州中央銀行(ECB)の新たな国債購入が「無制限」となりかねないと指摘し、同計画への批判を強めている。また、一部では、ギリシャのユーロ離脱問題は既に現実味を帯びているとも報じられており、ユーロドル1.24台の上値の重さが意識されている。
一方、ECBの国債買い入れを巡っては、独誌がECBは独連邦債に対するプレミアムが一定水準を越えた場合に買い入れを実施すると報道しているが、これに対しECBは「未決定の計画やまだ理事会で協議されていない特定の見解について報道することは誤解を招く恐れがある」として否定するなど、国債買い入れ問題は暗礁に乗り上げる可能性もある。ただ、直近のスペイン国債利回りが、ECBが何らかの措置を打ち出すとの観測期待から、同国債利回りは低下傾向を示す中、ユーロドルは底堅さを取り戻しつつあり、ユーロの乱高下は避けられない情勢にあると言わざるを得ない。
他方、米長期金利の上昇を背景にドル円は上値を追う展開ではあるが、ユーロドルと同様に80円前後では実需及びポジション調整売りなどが控えており、依然として、上値の重さを意識した展開を強いられている。また、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や住宅関連指標の発表を控えて、市場では米金利の動向を見極めようとの動きもあり、ドル円は79円台半ば前後で小幅なレンジ相場で終始している。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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