ECBも視界不良!ユーロ経済の脆弱性浮き彫り?
欧州中央銀行(ECB)は主要政策金利を0.75%に据え置き、下限金利の中銀預金金利もゼロに、上限金利の限界貸出金利も1.50%にそれぞれ据え置き、そして、ECB理事会後に開かれた記者会見では、ドラギECB総裁はユーロ圏の一部の国の国債の高利回りは「容認できない」とし、対処が必要だとの考えを示す中、ECBはさらに異例の措置を取る可能性やECBは利下げを協議していることを言及しているが、市場では、ユーロ防衛に向けて、ドラギECB総裁が何らかの対策が講じられるとの見方が先行し、ユーロドルは期待感と共に、1.24台前半まで急伸したものの、同総裁の記者会見が進むにつれて、対策自体に不透明感が残り、ユーロの失望売りが優先される恰好でユーロドルは1.21台半ば割れまで失速、改めて、ユーロの上値の重さが認識されている。
一方、独連銀総裁は債券購入に関して態度を保留し、新たなECBプログラムはこれまでのとは違うと指摘する中、前提条件が必要と苦言を呈している。ユーロ圏の中核国の賛同を得られなかったことがユーロ売りを助長させている。
他方、イタリアのモンティ首相はイタリアやスペインの国債利回り押し下げへの協力を欧州連合(EU)加盟国の各国を歴訪中であるが、ギリシャで始まった債務危機は拡大し、今やイタリアとスペインがその焦点になっていると指摘し、イタリア債のスプレッド(上乗せ利回り)が、この水準にとどまれば、EUや共通通貨であるユーロ、さらに財政規律にも否定的な政権がイタリアに誕生することになるだろう」と警笛を鳴らしているが、反面、無責任な発言との批判もあり、ユーロ圏各国の温度差が改めて認識される中、市場のコンセンサスはユーロの戻り売りが顕在化しつつある。