ユーロ急上昇も懐疑的!一過性?
市場の注目度は低かったものの、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が、ECBはユーロ圏をるために責務の範囲内で何でもする用意があると発言したことがきっかけとなり、ユーロドルは1.21台半ば前後から一気に1.23台まで急上昇、短期筋のユーロショートの巻き返しや利食い確定買いなどが支援材料になっている。また、スペイン10年債が7%を下回る中、米新規失業保険申請件数(季節調整済み)が約4年ぶりの低水準となったこともドル売り・ユーロ買いを誘発させている。
ただ、ECBが取り得る対策は流動性供給オペの更なる実施や政策金利の引き下げなどに限られているだけに、ECBが抜本的な打開策を打ち出せるかは懐疑的であり、ユーロを更に買い上がる難しさにも直面している。
一方、ユーロ圏17カ国で最上位国であるドイツやオランダなど格下げ見通しが報じられた矢先なだけに、ユーロ共同債発行を拒否しているドイツ政府がユーロ共同債に前向きな姿勢でも見せれば、ユーロドル1.25台も視野に入るだろうが、反面、ドイツ政府の財政負担増に繋がるだけに、今回のドラギECB総裁によるユーロ買いが一過性に終わる可能性を帯びている。それ故に、シカゴIMM通貨先物のユーロショートの改善がどこまで進展しているかが注目されるところであり、現時点では引き続きユーロの戻りで戦略性を維持することが賢明であろう。
他方、ドル円相場は、円売り介入警戒とリスク回避の動きに阻まれ、完全に蚊帳の外状態にあり、無理をせずに77.50〜79円のレンジ幅でジックリ待機することが一考であろう。