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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ不安定な上昇局面!一触即発モード継続?

ノボトニー・オーストリー中銀総裁がESMに銀行免許を付与するとの発言をきっかけにして、ユーロドルはショートカバーが進行すると共に、2年ぶり安値圏から、一時1.21台後半までリバウンドしているが、流石に上昇局面になると、潜在的なリスク回避の動きは根強く、ユーロの戻り圧力が優先される恰好で、逆にユーロドル1.22台の上値の重さが意識されている。仮に、ESMに銀行免許が付与されれば、ESMは債務危機に対応する形で中銀から無制限の資金借り入れを行えるが、現時点ではオーストリー中銀の案にとどまっており、ドイツを筆頭にして、他のユーロ圏の合意を得られるかは懐疑的であり、期待論先行の域は出ておらず、市場のコンセンサスは依然として、ユーロは軟調地合いにあるとの見方に変わりがない。
一方、米NYダウが企業決算や米追加刺激策への期待で底堅く推移したことが、投資家のリスク許容度の改善に繋がり、ユーロドルは一旦1.2000割れが回避され、底堅い展開になってはいるが、ただ、格付け会社イーガン・ジョーンズがイタリア格付けをB+からCCC+へ引き下げたことで、ユーロを積極的に買い上がる機運は削がれているのが現状であり、ショートカバーが一巡すれば、再度ユーロ売りが優先される可能性が高くなっている。
他方、米国ではガイトナー米財務長官が現在進行中の欧州債務危機は米経済にとって最大のリスクとしている。また、米経済は拡大しているものの成長ペースはここ2四半期で減速傾向にあり、金融情勢の深刻化が世界景気の減速を促しており、原油高、政府支出の削減、所得の伸び悩みが成長を妨げており、財政政策の不確実性が一層増幅していると述べている。現時点では、安全資産であるドル買い・円買いに傾斜しているが、日米欧の経済減速懸念を背景に、為替相場は一触即発の相場環境に晒されているのが現状である。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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