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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円売り介入観測が浸透中!サプライズ効果は限定的?

スペイン財政懸念が根強い中、スペイン・イタリア国債利回りは過去最高水準まで上昇、また、EU当局側からは、ギリシャはEU、IMFの債務削減目標を達成できない見通しが発表され、追加の債務再編が必要との見解が伝わっており、ギリシャの債務問題も蒸し返される恰好となっている。その中、米財務省は、350億ドルの2年債入札を実施したが、最高落札利回りは過去最低となり、同時に、応札倍率もこれまでの最高レベルに達している。そして、米債券市場では5年、10年、そして、30年債利回りは過去最低を記録するなど、リスク回避の動きが鮮明になっている。
一方、独仏財務相がスペイン国債利回りは同国のファンダメンタルズを反映していないとの見解で一致しているものの、効果的な銀行同盟・監督機関の設立が重要との声明文で留まり、依然として具体案に欠ける内容になっており、ユーロの戻り志向は根強いものがある。
他方、ドル円は78円台前半で推移する中、欧州情勢の先行き不透明感が増すと共に、米長期金利が過去最低水準を付けている関係上、消去法的な円高圧力がかかりやすい相場環境になっている。その中、安住淳財務相は閣議後の会見で、最近の一方的な円高の動きが日本経済の実態を反映していないのは明らかであり、今後も為替市場の動向を一層の緊張感を持って注視し、行き過ぎた動きについてはあらゆる措置を排除せず、必要な時には断固として行動すると改めて介入も辞さない姿勢を示している。また、務省幹部も昨年実施した介入について円高進行の歯止めになったとの見方を示しており、円を積極的に買いにくい側面があるが。ただ、ユーロ安が進行中であるため、政府・日銀としても介入タイミングを計りにくい状況に直面している。現時点では、ドル円77円台半ば前後で実施すると見なした方が無難であろうが、市場には介入観測が行き渡っており、サプライズ的な介入効果は得られないだけに、仮に円売りが助長されたとしても、ドル円80円台に達するような円安相場の構図は描きにくく、79円前後までの円安が精一杯の感は否めない。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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