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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル高・円高局面へ移行! クロス円は未だに黄信号?

金融不安が拡大する中で米ドルが上昇に転じているが、先週末に原油価格及び商品市況の下落に伴なっていることから、ヘッジファンドのポジション調整が指摘されている。ドルの戻りが一時的になる可能性は高いであろうが、今週は注目される要人発言も少ないため、再び米経済指標を中心とした相場展開が予想されるが、米経済を再確認する意味でも中古住宅販売件数や新築住宅販売件数の数字に注目が集まる。材料は多いがマーケットのセンチメントは米経済の後退観測に傾斜している以上は、依然として、ドルの戻り売りに焦点が集まるであろうが、損失確定のドル買いが蓄積しており、ドル安に一服感が生じているため、ドル円は100円台、ユーロドルは1.53台割れまで視野に入れて臨むことも一考である。そして、ユーロ経済にもインフレ圧力と金融不安が生じており、米国の決算発表が想定を上回る結果で消化されたことでユーロドルの上値の重さが生じており、ユーロドル1.55台からのショートにも妙味がある。一方、有資源国通貨にも高値警戒感が一気に浮上しており、円キャリー解消の動きが響いており、クロス円の上値の重さが生じているため、対ドルでも上値の重さが生じ易い相場展開が予想される。いずれにしても、当面は景気先行指数の株式相場主導の相場展開になるであろうが、一喜一憂せずに余裕持ったポジションで臨む姿勢が常に必要であろう。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年3月23日)週末の終値ベース
ドルが回復基調を見せ始めているが、総じてドル高と円高が平衡しており、ポジション解消局面を迎えている。世界経済の景況感が揺らいでいるように米ドルの迷走が続いているが、チャート上では相変わらずリスク回避通貨の筆頭であるスイスフランの堅調さが目立っている相場展開である。ドルが主要通貨に対して巻き戻しを見せてはいるが、サブプライム問題の進展が見られない限りは正常なチャートが描けない段階である。基本的には短期チャートよりも中長期のチャートを重視することが良策ではあるが、現状では米経済の後退観測が一段落するまでは、サブプライム問題が発生した昨年8月以降のチャートに重点を置いたほうが戦略性を高める事ができる。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル⇔ドル円)

ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000  現状乖離幅 0.00055→−0.0032
(A)1÷ユーロ$1.54337=0.6478(B)100÷ユーロ円153.60=0.6510 A-B=−0.0032⇒ドル円99.50円
100円割れの状況から、先週は強い買いシグナル99.15円が点灯していたが、週後半に再び100円台に乗せており、円高とドル高が交錯しており、100円前後の攻防が続いている。その後には反落しており、先週と同様に強い買いシグナル99.50が点灯している。日足チャートではドル買いが鮮明であるが、週足チャートではもう一段の円高懸念がある。売買シグナルを見極めたいレベルであるが、中期的にはドル円95円〜96円が買いシグナルに相当するレベルにあたる。 (売りターゲット109.00〜111.00) 

ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円  現状乖離幅 56.20→54.10円
先週の強い売りシグナル1.5668から急落しており、今週は通常の売りシグナル1.5437が点灯している。日足チャートではサブプライム問題の発生からのチャートに重点を置いて設定している為、今の荒れ相場には適合性が見られる。日足チャートでは通常の売りシグナルであるが、週足チャートでは強い売りシグナルが点灯しているだけに、1.500割れまではイメージできる状況である (買いターゲット1.4250〜1.4350)

豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅15円  現状乖離幅 6.15→9.80円
0.94前後から段階的に下落しており、高金利通貨を象徴するような相場展開である。先週の強い売りシグナル0.9380から、今週は通常の売りシグナル0.9015が点灯しており、0.90割れからはポジション解消も一考。 (買いターゲット0.8750〜0.8800)

NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅27円  現状乖離幅 18.50→20.65円
豪ドルと歩調を合わした相場展開であるが、0.80台では上値の重さが生じており、先週の強い売りシグナル0.8134に引き続き、今週も売りシグナル0.7925が点灯している。 (買いターゲット0.7500〜0.7600)

カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円  現状乖離幅 −1.50円→+2.25円
パリティが1.000前後で推移しているが、同時に本チャート上でもカナダドルと円との相関性が強まっている。先週の買いシグナル0.9851から今週は早くもポジション解消売り1.0231が点灯していると共に、弱い売りシグナルが発生している (売りターゲット1.0000〜1.0050)

ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円  現状乖離幅 101.35→97.65円 
相変わらずポンド円の値動きは激しいが、カナダドルと同様に対円との相関性の強まっており、先週の売りシグナル2.0222から、今週はポジション解消買いシグナル1.9814が点灯しており、様子見状態に達している。 (買いターゲット1.9850〜1.9900)

スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅15円  現状乖離幅 −0.20→+1.05円
スイスフランの強さばかりが目立っている。再び1.00のパリティに戻しているが、依然として、スイスフランは対ドルでは最強通貨であるようにリスク回避優先の相場となってはいる。同時にレベル的には急落リスクも兼ね備えている。先週の強い買いシグナル0.9980に引き続き、今週も強い買いシグナル1.0107が点灯している。(売りターゲット1.14000〜1.1500) 

オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円  現状乖離幅 12.35→10.85円
先週は先々週の乖離幅13.75から12.35に縮小し、ポジション解消局面を迎えたが、今週は更に10.85円まで縮小しており、逆に豪ドル買い/NZドル売りの状態になっている。10.85円では強いシグナルとは言い難いが、少なめからの始動であれば妙味が生じている
(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 11月4日に18.15更新)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円と着実に円安方向へ。今年度は1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月第一週261.45円、先週は260.40、そして今週は155.35+99.15=254.50まで一気に円高へ突入。2006円度上半期253円レベルまで接近しており、ターニングポイントになる可能性がある。少な目からのナンピン買いに妙味が生じている。
★ 欧州3大通貨ペア 
ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 45.15→43.55円
ドル高と円高により、ポンド円の急落ペースが速いが、ユーロ円も同様に反落しており、先週の売りシグナル0.7748から、今週は若干強めの売りシグナル0.7791が点灯している。(買いターゲット0.7450〜0.7500)

ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 56.00→55.15円
欧州3大通貨間ではスイスフランの優勢が顕著に表れている。市場はリスク回避主導の相場展開であり、先週の強い買いシグナル1.5637から、今週もひきつづき強い買いシグナル1.5602が点灯している。チャート上では警戒レベルに達している。 (売りターゲット1.6250〜1.6300)

ポンドスイス 平均乖離132円  現状乖離幅 106.90→101.80円
スイスフランの勢いが止まらず、2.00割れの状況を見せている。先週の買いシグナル2.0181から、今週は警戒レベルの強い買いシグナル1.9841が点灯している。ドルスイスのレベルから判断しても、リスク回避のスイスフラン買いに黄信号が点滅している。 (売りターゲット2.2300〜2.2400)

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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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