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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円100円割れの視界良好だが、未だプロセス不足?

今週の見通し
米経済のリセッションが確実視されているように、先週末の米雇用統計の悪化が如実に表わしている。今後の焦点は3月18日にFOMC政策金利を控えているため、米金利動向に再び関心が向けられるが、金利先物市場では利下げ幅は少なくとも05%を織り込んでいるが、米政府当局としては、サブプライム問題が泥沼化にならないためには追加利下げを最大1%までを覚悟しなければならない事態とも言えるだろう。今週の為替相場は相変わらずリスク回避が主役であり、ドル安傾向は否めないが、ドル円100円、そしてユーロドルが1.55を窺う段階に急接近中であるため、米経済指標の悪化には強く反応する相場展開が考えられる。戦略的にはドルショートとポジション縮小を基準としたトレードに専念する事が望まれる。

一方、米国の金融機関の破綻が表面化したことで、米当局は矢継ぎ早にモノラインの救済策やFRBによる積極的な金融緩和策等を実施しようとしているが、米経済の景気減速は避けられない情勢であり、市場はドル離れとリスク回避をテーマにした相場展開を余儀無くされているのが現状である。
今週の米経済指標では2月の米小売上高や消費社物価指数に関心が寄せられるが、一連の米経済指標と同様に悪化が見込まれているため指標自体では為替相場は反応は鈍いが、株式市場への影響を考えると株安円高の傾向は否めないだろう。
要人発言に関しては、トリシェECB総裁とバーナンキFRB議長の発言に集約されるが、米経済の後退観測と共に悲観論がどうしても付きまとう見解が予想されるため、ドル安、ユーロドル高の構図が容易には変わりそうもない。但し、ユーロが史上最高値を超え、相場が高値掴みにはかなり敏感になっているため、ユーロ圏の指標ドイツZEW景況感などにも注意して臨みたい。いずれにしても、為替相場主導の相場展開ではなく、信用収縮不安の中で、金利動向から、株式市場、原油価格市場の動向まで読みきれないと、為替相場を語れないほど難易度が増していることを認識して臨むことが肝要であろう。

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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年3月09日(日)週末の終値ベース

米経済はサブプライム問題が足かせとなり、あらゆる面で、米ドルの浮上材料が欠落している相場展開である。
米経済のリセッションが現実化している以上は、もう一段のドルの下落が余儀無くされる相場展開をみせている。 反面、チャート上では米ドルの反発時期を探る展開ではあるが、米国の実体経済を反映した米ドル離れが背景にあるため、ドルが戻り切れていない状況が続いている。 また、週足のドルチャートではドルの下げ余地を残している段階でもあり、当面の目安としては、ドル円100円、そしてユーロドル1.5500をドルの反発起点として考慮することが可能であろう。 いずれにしても、先週末の米雇用統計の悪化が引きずっており、今週も米ドルショート優先の相場展開が予想されるため、積極的なポジションは取りづらい相場展開であり、少な目のトレードを重視することが賢明であろう。
各通貨別の傾向としては、先週とほぼ変わらない状況であるが、ユーロドルとスイスフランの高値掴みには要注意であり、オセアニア通貨の裁定取引の乖離幅が14円以上に拡大した際には、AUD売り/NZD買いの好機が巡ってくる。
US$チャート(ユーロドル⇔ドル円)ドル買い
▲通貨別チャートを参照各通貨ペアをクリックしてご覧下さい。

ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0241→0.0172
1÷ユーロドル1.5355=0.6513(A)100÷ユーロ円157.70=0.6341(B)A-B=0.0172⇒ドル円102.70円
ドルの全面安が急加速しており、日足チャートでは極限に近いレベルまで円高が進んでいるが、週足で中期的な大局展望を見ると、まだ円高余地が残されている。サブプライム問題の改善が明確化するまではドル売りの流れが継続している段階である。日足チャート上では先週の買いシグナル103.80円に続き、今週も強い買いシグナル102.70が点灯しているが、100円割れの時点が到来してからのロングに妙味がある。(売りターゲット112.00〜113.00) 

ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 53.85→55.00円
ユーロドルが1.500を超えてからは上昇には衰えがないが、日足チャートではドル円の売られすぎとユーロ円が買われすぎ状況を見せており、完全にユーロドルの売りゾーンに達している状況である。先週の売りシグナル1.5188に続き、今週も強い売りシグナル1.5355が点灯している。目安は1.5500までのナンピンシナリオに妙味が生じている。(買いターゲット1.4250〜1.4300)

豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅15円 現状乖離幅 7.10→7.40円
0.94前後からは上値の重さが生じており、一時の勢いはなく、先週の売りシグナル0.9316に続いて、今週も強めの0.9279の売りシグナルが点灯している。
(買いターゲット0.8500〜0.8600)

NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅27円 現状乖離幅 20.85→21.15円
豪ドルの軟調以上に下落基調を速めているが、先週の売りシグナル0.79912に引き続いて、今週も強い売りシグナル0.7941が点灯している。
(買いターゲット0.7400〜0.7500)

カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 −1.50→−1.10円
再びパリティ割れの攻防が定着しつつある。ドル円が115円以上の円安時には、パリティ割れは不自然とも思えるカナダドルの強さであったが、ドル円が105円割れの円高と成ってからは、パリティ割れには違和感が生じていない。先週の買いシグナル0.9858に引き続き、今週も買いシグナル0.9894が点灯している。
(売りターゲット1.0150〜1.0200)

ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 102.70→104.40円 
再びポンドが2.00台に乗せたことで、先週までの様子見状態が解消されているが、先週の弱い売りシグナル1.9894と比較しても、チャート上では強い売りシグナルは点灯していない。今週は未だに弱い売りシグナル2.0166が点灯している状態である。ちなみに今週は日足チャートでは弱めの売り、週足チャートでは通常の売りレベルに達している。(買いターゲット1.9650〜1.9700)

スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅17円 現状乖離幅 3.20→0.50円
スイスフランがリスク回避通貨として先陣を走っているため、異例な上昇カーブが続いている。先週のかなり強い買いシグナル1.0401にもかかわらず、尚も騰勢強めていおり、DOL/CHE1.000割れ目前である。今週も警戒レベルの買いシグナル1.0250が点灯している。(売りターゲット1.1550〜1.1650) 

オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 13.75→13.75円
乖離幅は先週と同様に13.75円の状態を維持している。チャート上では強い売買シグナルではないが、少な目からの始動と計画性のあるナンピン志向があれば、リスクは限定的なレベルである。出来れば乖離幅が14円台まで乖離した時点での始動が賢明であり、同レベルから豪ドル売り/NZドル買いに妙味が生じている。
(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 11月4日に18.15更新)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円と着実に円安方向へ。今年度は1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。先週は261.45、そして今週は157.70+102.70=260.40であり、当面の円高レベル260円割れからの始動に妙味がある。

欧州3大通貨ペア 
ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 48.85→49.40円
ポンドが勢いを吹き返しているが、ユーロドルの上昇とスイスフランの上昇が際立っているため欧州3大通貨の相関性にゆがみが生じている。ポンドの劣勢が目立つが、先週の強い売りシグナル0.7634に続いて、今週も同様に売りシグナル0.7615が点灯している。(買いターゲット0.7200〜0.7300)

ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 57.85→57.50円
先週は1.60割れに突入したことから、スイスフランの全面高が続いている。中立通貨であるスイスフランが過剰反応しているレベルまで上昇を見せている。先週のかなり強い買いシグナル1.5797から、警戒レベルの買いシグナル1.5739が点灯している。(売りターゲット1.6300〜1.6350)

ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 106.70→106.90円
リスク回避のスイスフラン買いのペースが想像以上に速いが、スイスフランが対米ドルで1.000の節目を迎えており、スイスフランの高値掴みが警戒される。先週の買いシグナル2.0691に続き、今週も強い買いシグナル2.0669が点灯している。
(売りターゲット2.2650〜2.2700)

*****************************★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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