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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル安・円安アクセル?<ブレーキ反発警戒レベルへ!

先週は中国のGDPが大幅な伸びを見せたことから、金融引き締めが先行したこともあり、中国株式市場の下落が生じ、前回と同様な世界同時株安も懸念された市場である。しかしながら、118円割れの円高局面からは再度円キャリー志向も強まり、相対的にはドル円の下値は堅調であり、米ドル安とは言われながらも、円キャリートレードの波が部分的には米ドルにも流れ易い状況を作り出している。

▼米ドル以外の通貨に円キャリーが浸透していたため、想定以上のペースで米ドル安と円安が歩調を合わした展開でもあるが、世界の基軸通貨である米ドルが円キャリーの対象外になるはずもなく、総体的なリスク面を考慮すれば、米ドルをヘッジ機能として組み入れなければならず、キャリートレードの視点が他の高金利通貨と同様に米ドルに再度向けられることを想定すべきであろう。ただし、すでに過度な円安が続いている状況でもあり、ドル円120円の壁を越えられない状況も把握して臨むことを勧める。

▼円キャリーが何れは飽和状態になる事は明白でもあるが、世界的に拡大した円キャリーのソフトランディングも配慮しなければならない時期とも言える。 先のG’7では表面的には円安論議が焦点にはならなかったが、日米欧とも円の評価に関しては、日本経済のファンダメンタルズが反映していると報じられているように、デフレ脱却宣言が出来ない状態では、円安容認説も当然浮上するが、世界経済のバランスを鑑みると、今の円安が少なからずとも世界経済の潤滑油の一部でもあり、投資意欲を掻きたてた結果が、株価上昇にも繋がり、世界経済も部分的には円安メリットを享受しているだけに、以前のような円安批判を強行するだけでは事態収拾にはならず、 米経済のソフトランディングにも影響を与える事態も想定しなければならないだろう。いずれにしても、更に円安論議が過熱化すると株式市場への影響も甚大であり、円キャリーの落とし所も気になる相場展開と言えるだろう。

▼米経済の不透明さが象徴するように米国の利下げ観測と利上げ観測が同時に生じるように、専門家の見方も右往左往するだけに、ポジションの縮小と超短期的なトレードに走らざるを得ないだろうが、一般投資家には大きな動きが生じてからの参加を徹底する時でもある。 リスク面では米ドルの下げ基調が強まっているだけに、今週の米住宅関連には敏感に反応すると思われるが、例え指標が悪化したとしても、既に米ドルの下げが厳しいだけに、利益確定及び新規米ドルロングの可能性も一考すれば、米ドル売りの深追いは自重する時でもある。無理する相場ではない事は確かであるが、反発力としてはドル高と円高への舞台が整いつつあるのかもしれない。

▼シカゴ通貨先物(投機筋)の円ショートは7万枚前後で様子見ムードが見られる。 同時に史上最高値に迫るユーロも10万枚前後では安定的に推移している。 そして、1ポンドが2ドルを超えたGBPの伸びに注目されたが、ピーク時との単純比較からすれば6万枚前後と驚くほどの数字ではない。豪ドルにおいても同様なことが言えるように、投機筋の慎重さも窺える。シカゴ先物数字が為替相場をリードするわけではないが、米ドルと円の下げ基調が強まっている時だけに、相対的には伸び悩んだ意外な数字とも言えるだろう。それだけ、投機筋の動きも緊張感が増しており、ポジションを一方的に傾けにくい状況とも言えるかもしれない。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年4月22日(日)週末の終値ベース
円安以上に米ドル安が浸透している。先週に引き続き今週も米ドルの売られすぎの傾向が強い相場である。キャリートレードによる円安志向は依然として根強い。しかし、米ドルは対円に関しては、ニュートラルなレベル118.50~119円で推移しており、変動幅も限定的であろうが、チャート上では米ドルの転換期に差し掛かっている状態であり、特にユーロ、ポンド、そしてオセアニア通貨などの通貨に対しては、今週も米ドルの弱さが際だっている状態である。円キャリーの影響もあるが、米ドルの不安定な状況が混在しているため、米ドルの下げ幅が拡大しているが、チャート上では米ドルの反発期が何時あっても不思議ではなく、調整売買が先行する状況であり、米ドルショートは自重し、次の展開まで待機することが賢明であろう。
尚『通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます』
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱関係⇒米ドル買い
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1145⇒0.1159
先週の売りシグナル119.20から、今週も引き続き弱い売りシグナルが118.70では点灯しているが、様子見に近いレベルでもあり、118円台半ば割れではポジション解消の買いシグナルが生じるだけに、もう一段の上下動を見てから始動が賢明であろう弱めの売りシグナルであり、基本的にはもう一段の上昇を待ってからの売りに妙味がある。今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3589=0.7359?100÷ユーロ円161.30=0.6200⇒(0.7359−0.6200=0.1159)=ドル円118.70売り弱め。過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose様子見)→0.1085(117.80様子見)→0.1207(119.25売り)→0.1159(118.70弱い売り様子見)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅42.15⇒42.60円)
先週は強い売りシグナ1.3536の売りシグナルが点灯していたが、今週は更に強い売りシグナル1.3589が点灯している。 ポジションの余裕があれば1.36台からの売りに妙味が生じている。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り→1.3318売り→1.3285売り継続→1.13355売り→1.3375売り継続→1.3536売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(19.85⇒19.30円)
先週の強い売りシグナル0.8335から、今週はかなり強い売りシグナル0.8374が点灯している。0.79台後半からの売りが継続されており、0.84台では損切りのシグナルも点灯する。ポジション清算後ではあるが、再度0.84台からの少なめの売りも一考。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.7964売り→0.8048売り→8090売り継続→0.8164売り→0.8335売り
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅31.35⇒30.00円)
先々週の売りシグナル0.7203から、急上昇を示しているが、先週の売りシグナル0.7370に引き続き、最終段階の売りシグナルが0.7473で点灯している。0.75台では損切りを実施することになるが、豪ドルと同様に再度売りの状況も一考することを勧める。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り→0.7117売り継続→0.7152継続→0.7203売り→0.7370売り
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅14.45⇒13.05円)
先週はポジション解消の買いシグナル1.1379が点灯し、様子見であったが、今週は1.235で買いシグナルが点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1627売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1613売り継続→1.1538売り継続→1.1516売り継続→1.1379買いclose様子見へ
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅15円 現状乖離幅1.55⇒−0.25円)
ドル円118.70x2=237.40−ポンド円237.65=乖離幅−0.25円
先週の売りシグナル1.9870から、今週は一気に2.00台にのせたことからも、1.2021では強い売りシグナルが点灯している。
過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9324売り継続→1.9615売り→1.9686売り→1.9656売り継続→1.9870売り
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅21.05→19.95円)
先週の買いシグナル1.2145から、今週は更に強い買いシグナル1.2081が点灯している。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。
1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2364様子見→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194買い継続→1.2151買い→1.2225買い継続→1.2145買い
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅11.50⇒10.70円)
先週から乖離幅が若干縮小してはいるが、チャート上では乖離幅が拡大しており、先週に引き続き豪ドル円売り/NZ円買いの状況に達しているが、少な目の始動で様子見が必要。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させること、または豪ドル/NZドルの直接取引
9.30→11.80→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30→11.40→10.70→10.95→10.30→10.95→10.55⇒11.45→11.00→11.05→11.45→11.50円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度2月258.80 3月257.83 4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円(2月末はドル円121.00+159.35=280.35円の円安記録)3月平均は272.8円と円高傾向。4月からは275.15、先週は278.75の円安に振れ、今週はドル円118.70+ユーロ円161.30=280円と円安レベルにあるだけに、依然として、円キャリートレード中心の相場であると同時に要警戒レベルである。
欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅75.15⇒76.35円』
先週の0.6812の売りシグナルに引き続き、今週も0.6787の売りシグナルが点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6773売り継続→0.6785売り継続→0.6805売り継続→0.6812売り継続
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅63.20⇒63.05円』
先週の売りシグナル1.6439から、今週も大差がないが、引き続き売りシグナル1.6417が点灯している。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6253様子見→1.6195売り⇒1.6073買いclose→1.6200様子見→1.6230様子見→1.6351売り→1.6439売り
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅40.55⇒41.15円』
先週の買いシグナル2.413129に引き続き、今週も2.4187で買いシグナルが点灯している。欧州通貨同士のキャリ−レードの傾向が見られる。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。
2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.3920買い継続→2.4029買い継続→2.4131買い
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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