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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

2極化鮮明? 弱いドル派は円・ポンド・カナダ ⇔ 強いユーロ派はスイス

ドル予備軍 円・ポンド・カナダ

ドル予備軍 円・ポンド・カナダ

ドルの迷走が相変わらず続いていますが、ドル対ユーロの熾烈な戦いになってきましたね。客観的な円相場の見地から、通貨別の強弱関係を見ると、直近では?強い通貨はユーロとスイスフラン、?弱いドルに足並みを揃えている通貨は円、ポンド、カナダドルですね。そして?オセアニア通貨は未だ独自路線と言うことになるでしょう。いずれにしても、リスク管理主導の相場展開になると、ポジションの手仕舞いが起こり易く、相場が一変する可能性が高いだけに、神経を使いすぎないように、ここしばらくは、少な目のトレードでエンジョイしたいものです。

▼ユーロ圏の3月の消費者物価指数が過去最高水準を記録したことを受けてユーロ買いが加速したことで、1.5900〜1.5950前後のストップロスを巻き込みながら、早くもユーロドル1.600に急接近している。想定以上の速さでユーロドルが買われており、1.600の大台は時間の問題と化している。先のG7において、一時的にも協調体制を懸念したドル買い戻しの動きが散見された直後ではあるが、原油価格の高騰が収まらず、潜在的なリスク回避策としてユーロドル買いが吹き荒れた結果と見るべきであろう。その上に政府系ファンド(アジア及びロシア)と見られる投機筋の思惑買いも重なり、狼狽的なドル売りに圧倒された相場展開である。その後に発表された米経済指標も米国経済の後退観測を裏付ける形であり、そして、注目されたベージュブックにおいても軒並み悪化傾向にあるが、既にユーロドル1.600を意識した段階でもあったため、ポジション解消のユーロドル売りが合い混じり、辛うじて1.59台半ばで終了している。
反面、ドル円相場は孤立無縁の相関関係にあり、実体経済においては日米共同体の感が否めない。本来ならば100円割れの状況になっても何ら不思議ではないが、今回の一連の流れでは円は蚊帳の外状態であり、日米とも自国通貨安に依存しなければならない体質が懸念されている。当面は円高の流れが遠退いたと見るべきであろうが、102円台では実需の売り意欲は未だ健在であり、断続的な売りが102円台後半まで控えており、依然として、ドル重石になっていることから、一触即発のムードは払拭できないのが現状である。
一方、ユーロドルが1.600に直面したことで、既に、協調介入操作の噂が海外勢からは流れており、現状では1.600台の高値掴みには警戒を要するだろう。いずれにしても、ヘッジファンド以外にも政府系の短期筋の売買トレードが横行しているだけに、方向感を見極める状態ではなく、節目節目のトレードに徹することが賢明であろう。敢えて積極的なポジションを構築する段階ではないが、ユーロドルならば1.600前後の売りとストップロスの買いを1.6010に置いて、最小限のリスクで参加する気持ちが必要であろう。
昨日は米景気後退観測が高まる中で、NY株式市場は米企業の業績に反応して上昇を見せているが、原油価格の上昇がドル安のネックとなっており、株式市場の動向だけでは今のドルを単純評価できないのが現状であろう。プロのトレーダでさえもが外部環境に右往左往しているのが現状であり、少なめのポジションで対応する事を勧める。
今晩は60〜80億ドルの追加損失が計上が報じられた米大手金融機関メリルリンチの決算発表があるが、リーマン・ブラザースがサブプライム問題のピークアウトを報じており、さらに、昨日のJPモルガンの決算が思いの他に良かったことで株式市場は安堵感から上昇気配にあるが、米決算は未だに流動的と見るべきであるが、ドルの反発にも注視して臨むことを勧める。

本日の日経平均株価はNY市場の流れを受けて上昇中であるが、戦略的には株高円安の筋書きは描きにくい状況であり、レンジ幅を拡大した慎重策で臨むことがベストであろう。ドル円の下値は堅調であるが、実需の売り意欲も健在であり、102円だ半ば以上の売りと101円台前半の買いを勧める。ユーロドルは先に述べたように1.6000の売りを推奨するが、買いは1.59割れの進捗度合いを測ってからでも遅くはないだろうが、目安としては1.58台70〜80の買いを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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