リスク回避の円買い一巡!反転の兆し?
昨日発表された本邦の2月貿易収支が予想に反して黒字に転換したことを契機に円相場はジワジワと円高傾向を示している。中国の製造業指数(PMI)が低下していることもあるが、その後発表された3月ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は予想外に低下する中、独・仏の製造業PMIが50を下回ったことが嫌気されると共に、ユーロ圏の景気後退(リセッション)入りは確実との憶測が先行し、市場は、再び、リスク回避志向が強まり、安全資産の逃避先である円の需要が高まりつつある。
一方、本邦の貿易統計の改善については、主に、景気回復期待が高まる米国向け輸出がけん引役となっており、輸出数量指数は前月を4%上回り、昨年6月以来の高い伸び率を示しているが、本邦の最大の輸出先である中国向けは前年比14%減と落ち込んでいる関係上、恒常的な黒字回復には尚も時間を要するとの見方が支配的であるため、過度な円高期待は自重局面にあると言わざるを得ない。
他方、ユーロ圏ではギリシャ債務危機は小康状態にあったが、中核国の独仏の景気減速が強まったことを背景に、ポルトガルやスペインなどの重債務国に対する支援対策が危惧されている現状を踏まえると、ユーロを買い戻す動きは限定的と見なすのが賢明であろう。
いずれにしても、市場は中国経済の減速懸念が加わったことで、株や商品市場に大きな変化が生じる可能性があり、為替相場は突発的な出来事に反応し易い相場環境になっている。