ドル円利食い優先も下値限定的?
昨日のドル円相場は前日の84円台から小康状態に陥っている。年初来の円高局面から既に11%近く円安に傾斜し、依然として、当面の節目である85円に向けての円安懸念は残る
が、昨年4月以来の高値圏で推移している関係上、相対的に急ピッチのドル高・円安進行に警戒感が生じている。昨日発表された米経済指標が概ね好調な内容ではあったが、ポジ
ション調整売りや利益確定売りに圧された格好で83円台半ば近辺まで値を戻しているが、現時点では米景気回復期待を背景に下値懸念は限定的と言わざるを得ないだろう。
一方、米債券市場では、ギリシャ債務危機が一段落したこともあり、相対的にリスク回避志向が和らぐ中、米10年債利回りが2.278%まで上昇を速めている。米国債の下落「利回
り上昇」により、更にドル買い志向が強まる可能性もあるが、反面、米国の財政赤字拡大に繋がるため、総じて、不安定なドル買い局面と言わざるを得ないだろう。そして、日本
国債利回りも上昇過程にあるように、今後、大量に抱えている本邦金融機関や機関投資家の含み損が拡大する可能性があるため、必ずしもよい金利上昇とは言えないが、債券市場
だけでは市場トレンドが様変わりしたと判断するのは時期尚早であろう。
他方、ユーロ圏ではギリシャのデフォル問題は最悪期を脱したとは言え、ポルトガルやスペインの債務危機の深刻さも払しょくされない中、予断を許せない状況が続いており、再
びリスク選考型の円買い需要が増す可能性があるため、当面、レンジ幅での一進一退の展開が予想される。ポジションの拡大を控えて適宜な利益確定売買に専念することが賢明で
あろう。