日米欧・悪材料多発!難解な相場環境?
NY序盤では米雇用関連指標では改善が示されたことを受けて、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル円は本邦GDPの悪化懸念から円売りが加速、一時82円台前半まで上昇したが、その後発表された米住宅関連指標等が予想を下回ったことやNYダウが反落に転じたため、再度リスク回避姿勢が強まり、ドル売り・円買いに傾斜するなど方向感に乏しい中、ドル円相場はポジション調整主体で上げ幅を解消している。
一方、米国サイドから要人発言が相次いでおり、ダドリーNY連銀総裁は景気回復に関しては、非常に脆弱であるとしながらも、FRBは適宜適切な方法で出口戦略を実施している。そして、量的緩和第3弾(QE3)についてはハードルが高いと否定的見解を示している。一方、フィッシャー・ダラス連銀総裁は直近のFRBの債券購入は若干大き過ぎると過剰流動性に問題を投じているが、第一四半期GDPが上方修正される可能性を指摘している。そして、エバンス・シカゴ連銀総裁は米経済の足取りがしっかりしており、成長率は勢いづくと楽観的な見解を示しているが、まだ政策運営の姿勢を改める時期ではないことを示唆している。相対的に早期の金融引き締めには否定的な見解が大勢を占めていることがドルの上昇力を阻んでいるとも解釈できるだろう。
他方、ユーロ圏では、10月に退任予定のトリシェECB総裁がギリシャ国債の償還期限が延長された場合、ECBはギリシャ国債をオペの適格担保として認めないと述べていることがユーロ売りの材料になっているが、同時に、IMF専務理事の後任人事に絡む中、一部ではトリシェECB総裁の個人的な見解とみなす声も少なくない。
いずれにしても、日本経済のこう着感は言うまでもないが、中東情勢による原油価格の動向、ギリシャの債務再編を巡るソブリンリスク、そして、米景気の下振れリスクなどと悪材料が蔓延っている状況であり、より難解な相場環境に直面している。それ故に、積極的にロングを強調できる通貨が見当たらないのが現状であり、当面、相場が大きく動意づいてから始動することが賢明であろう。