ドルキャリートレード失速!円キャリートレード追従の余地有?
アジア・欧州株式市場の軟調地合いを加えて、期待されていた9月米新築住宅販売件数が予想を下回ったことを受けて、NYダウは9800ドル台を割り込み、前日比119ドル安、金は原油も続落するなど、再び世界経済の不確実性が浮上、更にリスク回避志向が強まり、超低金利のドルと円の買い戻しが鮮明になっている。
ここまでの一連の経緯からは、米企業の決算は概ね好結果であった反面、直近の米10月消費者信頼感指数の落ち込み(53.1→47.7)に伴い、今後の小売上高の伸び悩みが指摘されており、年末に向けた米クリスマス商戦への影響が懸念されている。相対的には株価や商品市場に向けられた投機マネーが縮小する傾向は否めなず、市場のコンセンサスとして、一時的に安全資産のドルや国債市場に転化する可能性が高く、米国債の入札が好調なことも、リスク回避の国債買いに走る傾向がある。
一方、現状のドル高がドル安の修正局面として捉えれば、未だにドルの上昇余地が残っているが、世界の共通概念として、世界経済回復には株価維持が最低条件であり、過度なドル高は米経済の回復が急速に冷えこむ恐れもあるが、市場は株安とドル高のジレンマに陥っている状況でから、当面、試行錯誤の展開が余儀なくされている外部環境である。ドルの信認性は薄れてはいる半面、大局的には世界基軸通貨として君臨している以上、だぶついたドル資産がリスク商品投下されていた現状を踏まえると、為替市場はリスク回避志向の強弱に振り回されている状況と判断できるが、今回のドル高はドルキャリートレードの解消を伴った相場展開であることは明白であるが、円キャリートレードの本格的な解消とは言えない側面があり、今後はドル円90円割れをイメージした戦略性が求められるだろう。
他方、ユーロポンドの急落しており、押し出されたようにポンドは対ドルでも強含んでいるが、欧州3大通貨の関連性から判断すれば、ポンドはある程度ニュートラルな環境に戻っている状況である。対ドルでは下げ余地があるため、ポンドの
深追いは禁物であろう。いずれにしても、ストップロス及びオプショントリガーが機能しないほど相場は動揺しており、基本的には相場の安定を見てからの始動が得策であり、安易なポジショニングは自重することが賢明であろう。
戦略的には、ドル円は下値を模索する状況であるが、91円前後からナンピン売りを勧める一方、89円台70~80にストップロスを併用してドル円90円前後の買いを勧める。そして、ユーロドルはポジション調整売りが席巻しており、上値が重い状態が予想されるが、売りは1.48台前後からナンピン売りを勧める一方、買いはドル円と同様に、ストップロスを1.4600近辺に配置し、1.46台半ば割れから押し目買いを勧める。