中国の圧力無視できず、ドル信認回復買い先行?
G20を睨みながら、市場全般に様子見ムードが漂っている。
今回のG20においては、経済不況と金融危機が渦巻く中で行われるため、注目度は通常よりは一段と高いが、米欧中の温度差と協調性が絡み合い、水面下では熾烈な論争が繰り広げられているが、同時に、20カ国にも及ぶ協調体制の難しさが表面化しており、G20声明文自体は想定範囲の声明文で終始することが予想される。G20では相場を一変させるほどの結果は得られないだろう。
他方、オバマ米大統領が積極的に各首脳と会談を設けているが、今回参加している20カ国のみならず、他国からも世界の外貨準備の6割を誇るドルの信認回復が求められている。特に、米国債保有残高と外貨準備高の第一位である米中会談では、基軸通貨の話題とは別に、ドルの脆弱性が指摘され、米国に対して、少なからずも圧力をかけた形である。米政府にとっても、中国の要請は無視できず、ドルの信頼回復に繋がる経済政策を率先する必要性があるだろう。
昨日の米3月ISM製造業景気指数は予想を上回る数字とは言え、景気指数を測る50を大幅に下回る状態は変わらず、ドルの下げ余地は依然として残るが、穿った見方をすれば、G20開催中でもあり、米政府としては、米経済の回復とドルの信頼性を強調したい局面でもあり、それらの観点から判断すれば、ドルの下落幅は限定的と見るのが妥当であろう。
一方、相対的に米経済指標の改善の兆しが見られるため、昨日のS&P500が節目である800を超えており、米経済の底打ち感と共に、株式市場への期待感が増幅している。
しかしながら、昨日のADP雇用統計がマイナス74.2万人と過
去最悪を更新した背景があり、市場はG20の動向よりも明日の米雇用統計に注目が寄せられている。事前予測では失業率も8.1%から8.5%、非農業部門雇用者数においても依然として、60万人台が確実視されており、改善の兆しさえ見られない。ドルの政策的な上昇要因と実体経済の下落要因が混在している状況であり、難解な相場展開と言わざるを得ないが、短期的にはドルの押し目買いに妙味があるだろう。