マイナス金利導入も株価に無反応、中国経済の減速が重石!?
先週末発表された米雇用統計では非農業部門雇用者数は15.1万人増と事前予想(19万人増)に届かず、また、景気の分岐点とみられている20万人増から下振れていることが嫌気され、相対的にドルの調整売りが優勢になっている。反面、平均時給が前月比で0.5%上昇したことや、失業率が5%から4.9%へ低下するなど、米経済の基本的な力強さには大きな変化はなく、また、ドルロングが縮小傾向にあるだけに、拙速的なドル売りには違和感が生じ始めている。そして、中国経済の減速や中東勢の脆弱性を背景に、米利上げ期待は後退気味ではあるが、原油価格は1バレル30前後で一進一退の展開を強いられるなど、潜在的なリスク回避志向は根強く、ドルロングの解消後のリバウンドにも警戒を要する外部環境にある。
一方、ドル円は引き続き株価や原油価格の動向を睨みながらの展開ではあるが、NYダウが前日比211ドル安と軟調気配にあるだけに、上値の重さに繋がっている。その中、本田内閣参与は日銀のマイナス金利導入の影響を見極めようとしている段階であり、今後、量的緩和と一層のマイナス金利の組み合わせとなる可能性があると指摘している。政府日銀はデフレ脱却に向けて、ドル円115円割れ阻止への意向を強めており、短期筋としても、積極的に円買いを敢行しづらい状況にある。
他方、ユーロドルはドル売りに助長される形で1.11台半ば前後まで切り返している。市場にはECBのマイナス金利拡大を含めて、様々な情報が錯綜する中、中国の1月末の外貨準備高 は2012年以来の低水準になるなど、中国人民銀行(中央銀行)がドル売り介入の影響もあり、現時点では消去法的にユーロの買戻しが上回っている。いずれにしても、ECBのマイナス金利拡大期待が広まっている以上、更なる上昇局面では清算局面入りと捉えることが一考であろう。