円高期待+株高期待増幅!日銀ネガティブ発言手控える?
財政の崖問題に関して、下院で多数を占めている共和党のベイナー下院議長が年収100万ドル以下の世帯の減税延長という共和党案を下院で採決し通過させると述べる中、オバマ大統領は拒否権を発動すると言及するなど、協議の行方に不透明感が高まり、市場は再びリスク選考型に傾斜しており、ドル及び円の反動買いに移行している。
一方、ユーロ圏では、ギリシャ・スペインなどの財政危機問題をめぐり、ECBがギリシャ債をオペの適格担保として復活させたことが好感され、ギリシャ債のみならず、イタリア債なども利回りが大幅に低下、特にイタリア10年債は2010年12月以来の水準まで低下するなど、一時、ユーロドルは1.33台まで上昇基調を強めていたが、同レベルからは高値警戒感と共に、利益確定売りに圧された格好で上げ幅を解消しており、依然として、波乱含みに展開を余儀なくされている。
他方、ドル円は日銀が本日の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの観測が円安を促している反面、円ショートの積みあがりが危惧される中、米財政の崖問題に対する不透明感が加わったことを受けて、相対的にポジション解消売りが優先され円安局面は一服している。ただ、安部新政権の誕生により、日経平均株価が一万円台をクリアーするなど、祖相対的な円安期待が増幅するなど、市場は日銀のデフレ対策に向けた本格的な金融緩和策に関心が寄せられている。一応、白川日銀総裁はインフレターゲット2%には否定的な見解を述べているが、現時点では株価の上昇や円安に水を差すよう発言を控えざるを得ない状況にあり、当面、日銀は政府の協力体制の下に本格的なデフレ脱却に向け、何らかの景気刺激策(追加緩和策)を講じる可能性が高まっている。遅かれ早かれ、再度85円台を意識せざるを得ないだろう。