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尾関高のFXダイアリー

[第225回] 金融庁超高速取引の規制強化検討、業者を登録制へ

▼金融庁:超高速取引の規制強化を検討、業者を登録制へ−欧米も参考に(Bloomberg)

結論から言えば、「業者」を登録制にするという手法が超高速取引(HFT)を規制しうるかについては疑問が残る。とはいってもそもそもHFTを規制する「内容」が大事であってそれはこれから明確になっていくのだろうが、今日はすこしそれに先んじて端折った話になる。

まずここでいう「無登録業者」とはだれをさすのか。HFTをするのは何も“業者”だけではなく“個人”でもできる。法人であるとは限らない。また、登録義務化で捕捉しても、HFTを実行するプログラムを開発し運用に乗せていく人間がそうした業者を渡り歩けば意味はない。登録していない業者がある日突然「HFT取引」に該当するとわかるまでにどれくらいかかるだろうか。またそれを検知するのは証券会社の義務とするなら彼らはすべてそうした検知機能を有しているのか。さらに有しているという確証を当局はどう担保するのか。

ネット証券から出てくる自動ロスカット注文もHFT並みの影響力を持っているがそれは対象外か?日本においてはむしろこっちのほうが私としては気になる。


そもそもHFTは市場に安定的な流動性をもたらす貴重な存在(善人)であるのだが、一方で彼らが相場水準を極端にゆがめる暴れ者(悪人)でもあるという認識がある。よくフラッシュクラッシュを引き起こす犯人として悪者扱いされることが多いが、かれらとてみんながみんなそれを意図しても、望んでいるわけでもない。誰がHFT業者かを特定して管理するとはいっても具体的な管理の中身が重要であって、登録するとおとなしくなるというわけでもないだろう。そもそもHFTの業者を管理することは目的達成手段として正しいのだろうか。

本質的にはHFTを行う参加者が誰であるかといった特定の“誰”という犯人捜しよりも、取引所自体がフラッシュクラッシュのように急激な、売りが売りを呼ぶような事態をどう回避できるかという技術的な議論のほうが大事ではないかと思う。先日店頭のFX市場でもメイ英国首相のHard Brexit発言でポンドが1.26台から1.13台へと数分で急落しその後1.21台へと急回復するという現象が起きた。これもHFT対策必要という主張が生まれる原因となるが、こうした現象の対策として、例えば市場のボラティリティを分単位で何%以内に抑えることといったサーキットブレイク分単位ルールとかを作ればかなりのブレーキにはなるのではないだろうか。あるいは、一つのアカウントから発注される頻度は1秒以上あけなければならない(これ以降の例は取引所ではなく証券会社でないとできない)、さらには約定しなくても一日で何件以上注文をしたら手数料をとる。この辺は既にHFT対策で先行する欧州の例に倣うものだが、こういったルールを取引所や会員出る証券会社のシステムに適用するほうが実効性は高いと思える。そういうルールがシステムに実装されれば、そのあとは誰がHFT業者であるかといった議論がどれほど必要だろうか。むしろ市場参加者に対する公平な扱いという意味では業者を区別(差別)するほうが余計な問題や不公平感を生み出してしまうような気もする。

上述のHard Brexit ショックとも呼ぶべき相場のスパイクはあるべきではないとか、1.13台の約定は非現実的だからなかったことにしたほうがいい(したい)とかいう話も聞こえてくるが、個人的にはそれら含めて相場だと思っている。そこにあれこれと手を加えるものでもないだろう。いやなら巻き込まれないように自分なりの防御ルールを作っておくことしかない。


▼尾関高のFXダイアリーをご覧のみなさまへ
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プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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