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尾関高のFXダイアリー

2015年初頭のご挨拶

みなさま、あけましておめでとうございます。本年も昨年同様、何一つ変わらず、よろしくお願いいたします。まずは、本年において私が個人的に気にしていることについて書かせていただき、新年のご挨拶に代えさせていただきます。


■借金1200兆円


今年の見通しとしては、まず日本の1000兆を超える借金の返済計画のめどはつくのかどうか。すなわちアベノミクス第3の矢ですが、発表された補正の中身に「おおっ!」と言わせるものはとりあえずなかったですね。耳新しく聞こえてくるのは「地方創生」というキーワードで、竹下首相時代の地方へのばらまき政策が思い出されます。他方、新たに事業を起こしたい人がそれをしやすくするような政策はあまり聞こえてきません。


■スタグフレーション


いくら黒田さんががんばっても、しょせんそれは金融政策の一部です。インフレ率を2%目指すといってもスタグフレーションでは意味がない。それでは故事成語の「助長」と同じことで、あっという間に稲は枯れます。そうではなくて、根っこからの成長を目指すにはやはりお金じゃなくて、実体経済、すなわち「事業」が生まれ、育つような社会を作っていかないと健全なインフレは無理です。1200兆円の借金でも、1500兆を超える日本人の個人資産によって安全に保たれるという話ももうじき在庫切れになります。そうなると、ほんとにハイパースタグフレーションを心配しなければならなくなります。金融は血流にたとえられますが、であれば実体経済は筋肉です。細った筋肉にいくら輸血しても、意味がない。賃金上昇という筋肉あっての輸血でしょうか。血は十分余ってます。


■地方創生


「地方創生」とは皮肉な言葉です。つまり今まで一度も地方は存在してなかったと認めているような言葉に聞こえませんか?最初は「地方再生」と聞こえました。地方を元気にしたいなら、お年玉を与えるのではなくて、所得税をやめて、全部地方税にして、国は地方自治体から徴税する、自分で自立してくださいというほうがどれほど効果があるかはだれもが説明なしでわかる話です。自律(立)するということは地方分権です。道州制、結構ですね。死ぬ前に見てみたいものです。地方交付税交付金など、徳川江戸時代の遺物にも見えます。


■資本主義


資本主義はつまるところ搾取主義だと思います。資本主義国家が栄えてきた原動力は、植民地としての発展途上国あったればこそです。少なくとも私が学んだ歴史から見える原理はそういう姿です。資本主義は欧州の大航海時代とともに成長し、植民地政策とともに肥満したように見えます。しかし、今やフリートレードにも象徴されるように、地球上の人類が国家如何にかからわず平等に扱われるべきだという考え方が広がりつつあるわけですから、それすなわち資本主が成長の原動力としてきた搾取対象となる国がなくなりつつあるということだと思います。当然先進国の成長率は鈍化して当たり前なわけです。そこで悪あがきをすると借金が膨らむことになります。


■米国


冒頭、これだけ言いながら言うのもなんですが、政治の話がしたいわけではありません。こういうことが今年は気になるというだけのことです。視線を変えて、米国ですが、米国の景気は本当によくなるのか。FRBは金利を引き上げられるのか。それに大きな影を落とすのが、原油価格の下落です。うがったみかたをすれば、イスラム国が原油を密売して資金を得ているというニュースとひっかけると、CIAあたりが彼らの資金獲得額を少しでも減らすべく国際原油価格を低く抑えるという意図を感じたりします。ほとんどスパイ映画的発想ですが、最近のハリウッドで世間を騒がせた映画のシナリオよりは品があると思います。脱線しますがなぜあの映画の下品さがもっとメディアで触れられないのかが気持ち悪いです。これもCIAが北朝鮮を追い込むためにわざと挑発行為としてやったのではという、これまたスパイ映画の脚本めいた話ですいません。そういうことにソニーPEやグーグルが協力するかあ?と疑って、鼻で笑ってもらえれば幸いです。

とりあえず目先のFXの相場としては昨年後半同様、そこそこの変動率が期待されるところです。そういうことで取引高は結構維持できるんじゃないかなと思います。そして内部留保がたまったら、システムの刷新や、新たな商品開発に投資しましょう!アイデアなら、そこそこ在庫があります。


■欧州


欧州に目を向けます。やはり最初にギリシャが気になります。だからといってスペイン、ポルトガルが安泰だとは思えません。イタリアとて同様です。そういいだすと南欧はフランス以外は“くすぶってる”という感じです。が、日本人が言えた立場ではないのです。お前こそ大丈夫かって言われそうです。格付け機関が昨年末にむけ国債を格下げもしくは下げ基調に変えました。今年それが回復する見込みがあるとは思えません。むしろより悪化する可能性は常にあります。


■中東


中東には目を向けたくないですが、やはりイ●●●国の動静が気になるところです。これ以上は怖いので言いません。


■ロシア


ロシアはどうか。やっぱり原油価格の影響がどう出るかでしょうか。ルーブル防衛はあれで成功したといえるのでしょうかね?まあ、また介入するなら今度は金(キン)を売れば?結構な軍資“金”があるのはわかっています。


■スイス


こっそり年末にスイスがマイナス金利やってましたね。あれどうなったんでしょう。人から「マイナス金利って、銀行で金借りると利息がもらえるのか?」って聞かれましたが、まあ理屈としてはそうですが、それはあくまでもインターバンクの話であって、個人で銀行窓口に行って「お金かしてください、それもマイナス金利で」って言ってもムダです。


■中国


これもあえてここで語る必要はないかなと。


■自然災害


こうした政治的な次元に対峙するのが自然災害です。2015年も自然災害はいろいろありそうな気配です。少なくともそれを意識の隅より真ん中のほうに寄せておく必要は感じますよね。私は、いまどき活火山をハイキングしに行きたいとは思いません。


■円安


で、2015年は円高か、円安か。一時的なリスクオフで円が買い戻されることはあっても、大きな流れとしては、円安は続くと思っています。これが当たるか当たらないかという文脈の話ではなくて、そういう想定を軸にしておけば、ポジションを外す、あるいは逆転させるタイミングが計りやすいということです。


■変動率


FX業者にとって大事なのは円安か円高かよりも変動率です。なので、相場一方向に安定的に動くよりも、“右往左往”してくれる方がありがたい。スキャルパーも同様。右往左往しながらもじわじわ円安になると全体的に一番ありがたい。しかしその副作用として現実の実体経済がスタグフレーションに陥る。つまり、物価は上がるが給料は上がらない。その相対的低下所得を補充するべく、相場で円安順張りにしてスタグフレーションヘッジをする。これで昨年は結構儲けた方は多いのではないでしょうか。


■家計のオフバランス化


去年は、株でもうけた成金主婦とかすこしテレビに出てました。会社辞めて毎月投資リターンが3000万円ぐらいある主婦とか。「家計がどんどんオフバランス化」しております。それを進めるかのようなアベノミクスでもあります。株を買え、NISAで買えと昨年はやかましかったですが、そもそもNISAのしくみ勉強しました?5分聞いて意味がわかんないと人は集中力なくします。少なくとも私は。頭のいい人が考えた中途半端なNISAシステム導入で潤ったのはその機能をシステムに乗っける開発を請け負ったシステム会社でしょうか。NISAで節税できるといっても、儲からなきゃ意味がないんです。たしかに去年はけっこううまくいったでしょうからNISA様様ですね。みんながNISAで株をばっちり買ったところを見越して、最後はGPIFです。後ろには巨大ロケットが控えてますから、それが思いっきり援護射撃してくれますから、今のうちに買っときましょう、と市場はそんな感じですかね。そしてGPIFがしっかり資産を増やしてくれればいいですけど、個人的にはディーラーやファンドマネジャーの顔が見えないファンドは信用できません。公的資金であってもどこにいくら投資するかを判断するのは人間です。だったらそれは“だれか”を開示すべきです。まして公的資金です。「GPIFが決定した」という発表の仕方は逃げてる感じがして気に入らないです。「誰が」で行きましょうよ。アメリカみたいに。どの祖組織でも、ヘッドが誰であり、この声明や判断は誰がしたかが明示されます。日銀は「黒田さん」の存在がしっかり出ます。ところが政府や、省庁、公的財団等になるとそういう名前がメディアにはほとんど出てきません。「財務省の見解は・・・」という言い方は聞いても「の誰が・・・」が聞こえてきません。これはメディアのせいなのでしょうか。メディアはもっと“だれ”を前面に出したほうがいいと思います。そうしたほうがもっと切れ味のよい社会になると思います。みんなで決めたからみんなの責任=だれも責任取らない、という社会にみんな嫌悪感を持つじゃないですか。国際社会ではさらに通用しません。文科省が積極的に英語教育を強化して国際社会で活躍できる人材を育てるって言ってますが、まずはこの責任の表明のしかたから国際的ご作法を修正しないと変なことを流暢な英語で言われても困るわけです。


■語学


英語ついでですが(英語に対しては一家言あるのですいません)、英語に約30年間どっぷりつかってきた私が言うのもなんですが、何も英語にこだわる必要はないでしょう。英語は小学1年から高校3年までを必須(ちなみにアメリカは中高一貫で義務教育、だから高校受験は、私学に行かない限りはない)として、第3外国語として、中学1年から高校3年までやらせるのが欧州では当たり前です。多言語であり外国が隣接する国際環境だとそういうことが当たり前になります。だからといって別に子供たちの負担感は変わりませんよ。言語は小さいうちに始めるのが一番後が楽です。それが2言語だろうと3言語だろうと、私が経験する限り関係ないですね。むしろ多言語が当たり前じゃんという環境で育てる方がよりスムーズだと思います。どの外国とも隣接せず、北欧のように、TVチャンネルを変えると当たり前のようにBBCが放送されている国では、英語が話せるのが当たり前になります。そりゃ同じアルファベットだがら入りやすいよね、と思います。たしかに「日本語」人としてはそれはハードルです。だから英語をベースにアルファベットと母音と子音が独立する発音言語(フォナティック言語:phonetic language)を習得して、そこから他の言語へ羽ばたいてもらえればと思いますし、高校からは、英語だけじゃなくて、スペイン語とか中国語、東南アジアの言語とかもっとほかの言語への展開を考えた方がいいと思います。日本人が今更全員英語が話せるという社会よりも、100人集まれば、誰かがどこかの言語が話せて、その種類が50か国分ある、という社会のほうが強くないですかね。
英語が話せる人とタイ語が話せる人が一緒にいるだけでそのコミュニティの価値は英語だけの場合よりはるかに大きいですよね。

昔、シベリア鉄道で中国から東ヨーロッパへ抜ける旅をしているとき、列車の中で知り合った同世代の人たちと毎日食堂でしゃべってましたが、そこでは、英語を話す日本人、中国語を話すトルコ人、中国語を話すアメリカ人(留学生)、ドイツ語を話すハンガリー人、中国語を話すドイツ人、というグループで会話をしていました。必ず一回誰かがどこかの言語に翻訳しないと全員参加の会話が進みませんでしたが、逆にそれで全員が理解できるのです。そういうインフラを持つ国になるのもよいと思います。何も英語だけを追いかけなくていいと言いたかっただけです。


■個人の防御


インフレ率以上に所得が上がるような手を個人の力で打っていかないと、取り残されることになる、そういう時代がやってきたなあと痛感します。だまっていても、声を出しても政府は助けてはくれません。助けられるような余力があるようには見えません。打ち出の小づちである国債はだんだんと振りづらくなります。税金は常にとりやすいところからとり、再分配は票がとりやすいところへ重点的にばらまかれるという法則は日本に限った話ではなく、個に私欲がある限り地球上で普遍的に行われることです。そういうことに文句を言う暇があったらどうやれば自衛できるかに頭を絞りたいところです。そんなアイデアがあるのか?余裕資産がない限り、ないんです。余裕資産がある人は、来る強風に乗っかれるように、レバレッジという帆を自分のマスト(mast)やキール(keel)の強度に応じて張ることはできます。


プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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