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尾関高のFXダイアリー

2014年の見通し

皆様、謹賀新年。今年もよろしくお願いします。例年同様、同じスタイルでこれからも徒然に思うところを書いていきたいと思っております。

さて今回今年1回目(通算159回目)は日本のFX生誕16年目に突入する2014年の見通しについて思い浮かぶテーマごとに考えてみる。


■FXの口座数、預かり


伸び続けると思っている。かつては証券系の顧客をFXに如何に取り込むかに腐心したが、FXも生まれて15年たつ。資産運用を株ではなくFXから入ったという世代の人たちも多いだろうし、彼らは今30代、40台になっている。FXが生まれたときは株式市場が低迷し、その後去年あたりから株式市場が息を吹き返しつつある流れを考えれば、むしろFXから株の世界へ流れ込んでいく傾向すらあるのではないかという仮説は十分検討に値する。個人的にだが、個人金融資産のうちFX業界が占める割合は1%にすら満たないが、今後10年で3%〜5%をめどに増加してゆくという仮説(ある意味で業界の目標とも言えなくもないが)を立てている。


■相場


雰囲気的に円安だが、一本調子ではいかなさそうなので気を付けたい。


■業者数


確実に減る。米はRFEDベースで10社になった。日本は専業で苦しむ業者から離脱がさらに進むと考える。一方中堅から大手の証券会社はFXをラインナップの一つとして維持してゆくだろう。


■バイナリーオプション


ガイドラインが整備されたことで参入業者はもう少し増え15社ぐらいになるかもしれないが、リスクを取りたくない業者は今のままのモデルでは扱えない。やはり誰かがカバー先となって業者がヘッジできる環境を実現しないと広がらないだろう。いつもしつこく言うことで恐縮だが、現状を見る限り、市場リスクをメインとする各リスクをどう把握するか。そしてそれに見合うリターンをどれくらいと考えるべきか。さらに出来上がったその仕掛け(商品のモデル)の合理性と実現性をどう担保するかがさらに深く追及されなければならないと考える。さらに法(規制)的な解釈論ももう少し精緻に議論されるべき余地があると考える。たとえば今のありようは欧州で言うところのフィナンシャルベッティングとどう違うのかとか、カバー先があるということと、カバーできるということと、実際にカバーしているということとはそれぞれ意味が違うし、一言でカバーと言ってもデリバティブの場合、同一商品によるストレートカバーとリスク分解しての異なる市場での“ヘッジ”という手段もある。それらの点がもっと明確に示される方が業界としては対応方針が決めやすい。そうした環境が整えばもっと違うエキゾチックオプション等の開発がすすむ可能性が生まれる。個人的には本来そういう体系的なアプローチから始まるべきことだったと思う。


■新通貨


ロシアンルーブルか。新たな通貨記号も決まったところで、これからルーブルの売り込みが活発化するかもしれない。個人的にはインドルピーも気になる。中国元はすでに取引が活発化していると思っている。しかしながらリスクは相対的に大きい。ロシア通貨危機を知る者にとってはロシアンルーブルが最後ではなくて、今後第2、第3の通貨危機が発生する可能性を無視できない。扱いにしても、慎重さと、いざというときの対応策は考えておくべきだと思う。あまりに安易にマイナー通貨をやるのもどうかと思っている。投資家のほとんどは実需ではないのだから、あえて危険な通貨をやる必要はない。


■自動売買


さらに活発化すると思っている。言ってみれば2014年は自動売買めざめの年としたいところである。統計的に自動売買を利用する投資家の方が裁量でやる投資家よりも生存期間は長い。つまり勝率は上がる。取引高も増加する。相対的に業者と顧客がともにWIN−WINになれるということである。自動売買シグナルの管理がきちんとできるなら、それはヘッジファンドの代替商品として極めて優れたものになることは間違いない。規制側から見ても、監視コストが安くなる。なにせ投資家自身がいつでも監視できるのだから、だましようがない。日本でもPAMMやLAMMが導入されればもうそれでヘッジファンド並みのモデルが出来上がる。シグナル売買は実質LAMMのロジックが使われている。あとはPAMMが許されれば十分となる。なお、PAMM、LAMMについては次回語るのでここでの説明は割愛する。


■日本勢の海外進出


数社がすでに海外進出しているが、今のところ目立った活動は見られない。行先はイギリス、オーストラリア、香港がメインで、あとはインドネシアだが、基本的に非居住者の取り込みを禁じていない国に拠点を置いて世界中の投資家にアプローチしようという目論見が見て取れる。なにもこれは日本の業者だけではなく、むしろ世界的には当たり前な戦略である。だから、オーストラリアでも金融業者登録数が数千に上るのである。さみしいのはアメリカに殴り込みをかける業者がいないということである。確かにマネックスがTradeStationを買ったが、これは日本のテクノロジー等をアメリカに持ち込むという発想には見えない。今後に期待したいところである。


プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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