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尾関高のFXダイアリー

むりくり取引高順に並べてみた

あちこちのニュースでどこの取引高がいくらだったという数字を見るが、ドル建てだったり、枚数だったり、円だったりと比較が大変なのである。そこで今回思い切って、こんなことをしてみた。

原則ドルで比較する。単位は、本=百万ドル。
開示された数字がドル建てならそのまま使う。円建てなら、当月末の終値でドルに換える。

開示されない業者の場合は、営業収益、トレーディング損益から取引高を推測した。
何も開示していないところで、無視できないと思うところは噂の数字を入れている。
これはかなり乱暴なやりかただが、とにかくいちど並べてみたいのである。


■表1:国内業者のみの比較


まずは日本の業者だけを対象とし、合計が協会の開示する数字に近づくべく狙ってやってみた。私の仮想順位表によればその合計は協会のそれと10万本しか違わない。対象業者数が57(最近は51社)分の23社でそこまで行ってしまうのだから、わりと私の計算が水増しされている。
国内法人だが親が海外の場合は、親で合計されるのでここでは抜いた(もしくは日本法人の分として開示されていない)。その分協会の数字と矛盾する。
仮に私の計算が正しいとして、上位5社で、70%、上位12社で90%の取引高を占めている。驚くにはあたらない。
ご存知の通り、レコードハイは業者により6、7月だがどっちでも順位としては大して違わない。今回のデータは7月を使っているが、これはその下表2,3の海外勢の数字で7月のしか手に入らないところがあったのでそうしている。
証券、専業という分け方は、脚注でも説明している通り、社名に「証券」がついているかどうかではなく、現物株の扱いをしているかどうかで判断している(これも勝手な判断)。実名は上で説明した通り、公式に開示された数字ではないので出すことを控える。見てのとおり、上位は専業で占められている。なぜ既存の証券会社が上位にこないのかについてはあまり説明はいらないのかもしれない。とりあえずその話はとばして次の表に目を移す。


表1

表1


■表2:有名どころの海外業者を加える


これは、上の表に、公開されている有名な海外の業者とくりっく365を足したものである。FXCMとゲインとサクソの名前が出てくる。さらに、FXCMとゲインはB2B(Institutional)の数字も開示しているのでそれも区別して混ぜた。


表2

表2


■表3:リテールとB2Bを合算しグローバル順位


FXCMはリテールとB2Bを足すと、57万本ぐらいになり、順位としては第3位になる。ゲインは足すと50万本ぐらいになり第4位になる。1,2位は不動のGMOとDMMである。

FXCMとゲインについてリテールとB2Bを足して順位を出しなおすとこうなる。上位10社で比率を見ると、上位5社で76%。サクソはB2Bを含まない数字ではないかと思っているので、ここでの数字も正しく公平なものとは言い難いとお断りしたうえでも、だいたいこの顔ぶれが世界的に見て不動の順位かもしれない。しかし今回、IGマーケッツとCMCとオアンダが入っていない。探したが、見つからないのである。推測に足る噂の数字すら聞いたことがないので入れていないが、間違いなくこの表に顔を出すレベルのはずである。ちなみに、北米においては、取引高のFXCM、預かり高のオアンダというのが定評である。日本でいえば前者がGMOで後者が外為どっとコムというところだろうか。欧州では、サクソ、CMC、IGマーケッツがレガシーブローカーだと思うが、最近はいろいろ出てきているので定かではない。

取引高の計算の仕方というのは国や業者によってもまちまちな感じがするのでまったく同じ計算ルールで比較するのが困難なのだが、およそのイメージはこういう方法で描くことができる。今後も調査は続けてもう少し精度をあげたいと思うが、主目的としては国内業者のランキングというよりも世界全体としてどうかを把握したいと思う。そのためできれば取引所取引と店頭で分けて、かつ店頭は、取引高を円ではなくて、月末のレートを使って米ドルに換算し、リテール(個人+法人で信託対象)とB2B+機関投資家(信託対象外)に分けて開示してもらえるとありがたい。むろんここでいう取引高は客から受けた取引だけが対象であり、カバー先でやった取引は対象外である。


表3

表3


プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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