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尾関高のFXダイアリー

ハイローバイナリーオプション議論の着地点

ハイローバイナリーオプションの議論の着地点は以下のようになりそうである。

(1) 2時間もしくはそれ以上
(2) 取引間隔も2時間以上
(3) 途中決済を可能にする


【参考】店頭バイナリーオプション:自主規制の在り方=金先協会 (PDF)


上記個々の条件にはいろいろと賛否があるようだが、今まで私が展開してきた考えになぞって説明すると、(1)は金融商品としての成立条件ではない。あくまでも社会的で公序良俗的な観点から生まれた条件である。インターバンクでは最短でオーバーナイトしかないという意見もあったようだが、実際インターバンクの通貨オプションのブローカーをやっていた私はいわゆるタイム(イントラデイ)オプションを扱ったことはある。夕方5時ごろにその日のニューヨークカットを取引したことは何度かある。ボラティリティがあるか、という議論もあるようだが、取引が成立すればあるといえるが、普段はそんなボラティリティは表立ってクォートされないので、安定的・継続的にクォートするにはどうしてもヒストリカルを使う以外にはない。それはインターバンクで取引に使われるインプライドボラティリティとは大きくかい離するものである。どうせヘッジする市場がまともにないのだから、どっちでも構わないのでこれは議論に値しない。なぜなら、客向けにはヒストリカルで計算したプレミアムを提示し、そのカバーを同じスペックのオプションでする場合そのプレミアムはインプライドボラティリティで計算されるのでストレートヘッジすれば間違いなく損をするし、そもそもそういう流動性はインターバンクにはないからである。

(2)の間隔も金融商品としての議論ではなく、(1)同様の視点から生まれる条件である。
(3)は、これこそが金融商品として成立するための(ベッティングではないと主張するための)条件であることはすでに述べている通り。また、これが条件となることで生まれる効果・影響として、商品自体の収益性は下がる可能性が大であることや、いつでも閉じることができるということで、時間の問題が消えるというのがミソなのである(※)。問題は2時間の間に原資産であるスポット価格の変動と時間経過とともにどうプレミアムが変化するかということが金融商品の質として問題であり、そのスプレッドがどれくらい広いかということが投資家から見て大切な問題であり、結果、商品として魅力があるかどうかのカギになる。


 あと、触れられていない点として、確率的には低いがストライクプライスとほぼ同じで終わった場合にコールもプットも消滅するという条件はないほうがいい。一方でぴったり一致したときの条件はきちんと整理しておいた方がいい。


さらに、トリガー判定するために使われるレートの観察対象を自社の配信レートを用いるという条件が微妙である。できれば、ロイター、EBS、ブルームバーグといった中立性のある市場を観察対象として採用するほうが公正性という点であらぬ疑いをもたれないためにも望ましい。


※途中でいつでも決済して逃げられるということは、2時間のオプションでも、たとえば1000円でハイを買ったのち、10分後に1円ほど円安になり、その時のプレミアム価格のビッドアスクが、1200円‐1500円だったとすると、その人はこの辺が天井かなと思えば、1200円で売ることで200円の利益を売ることができる。この場合結局この人は10分のオプションを取引したのと理論上は変わらない。業者側から見れば、こういう途中決済を認めるということで、ヘッジの必要性がどうしても生まれる。それをしないとただ顧客が利食いをして出ていくのを指をくわえて見ているだけになる。全体を月次にならして、黒字を維持できるかどうかはその常時動き続けるスプレッドの広狭でしかコントロールができないので大変だ。デルタを計算してダイナミックヘッジをするという意見もあるようだが、ほとんど非現実的であることはそれをしたことのあるディーラーならよく知っていることである。

想像してみよう。

98.00でハイを800円で買った。当たれば1000円返ってくるとする。その10分後に相場が99円になったとする。この状態ではディープインザマネーである。残りの時間ほとんど心配しないでいられる。その時のプレミアムのビッドアスクを想像すると、当然アスクは1000円に張り付く。つまりいまでは98円のストライクのバイナリーオプションはほぼ買えば当たる状態である。だからプレミアムが1000円に張り付く。つまり買っても意味がない状態になる。逆にビッドサイドはいくらになるのだろう。ここで800円よりも上の値段で出すと業者はその分損をする。それを埋め合わせるためには、スポットマーケットでヘッジをしていなければならないが、98円から上がりだすタイミングでうまく、ロングを仕込めていればOK。それがうまくいかなかったら損が出る。ならば、ビッドサイドは開始時点での価格よりも上にすることをしないという操作が思いつくが、これをやると金融商品としての質が問われる。

つまり、(3)の条件を導入するということは業者側にとってはかなりストレスがたまることになると推測している。よってビジネスとして魅力がないからやめる、という展開もありうるのではないかと思う。しかるに、(3)の条件を導入する効果や影響は絶大なのである。


 金融商品の“質”というものをどう担保するかという考え方は人によって違うものだとは思う。違うことは問題ではない。そこに議論があればいい。問題はそういう質をどう担保するかというテーマをそもそも持たないことである。それがなければ金融ではない。個人的にそう思う。


プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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