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尾関高のFXダイアリー

当面の展望(税制・レバ規制・CFD)

■税制


 23年度税制改正法案が通過の見通しとなったそうである。店頭FX業界にとっても、個人投資家にとっても喜ばしいことである。最近売られっぱなしのこのセクターも、多少買い材料が出てきたか。しかし投資家からみれば、あくまでもこの税制改正は儲かった人に有利な話であって、株もFXもすべて2年連続で損をし続ければ何もご利益はない。その点、実現益を優先し、評価損を繰越す傾向のある個人投資家においては、その投資行動に多少影響を与えるかもしれない。
【関連記事】
▼平成23年度税制改正法案について―FX税制も成立の見通し
▼税制改正の影響はどれくらいあるのだろうか[2011/1/24]


■レバ規制第2弾


 しかしながら8月にはレバ規制25倍が控えている。すでに多くの個人投資家はそれに合わせた取引スタイルというものに対応し始めているようにも見えるが、実際始まってみないとどれくらい取引高が減少するかはわからない。昨年のレバ規制50倍のとき、いったん落ち込んだ取引高も、その後回復あるいはそれ以上に増加した業者もある。一時的に落ち込むことはあってもその後再び増加に転じるというのが楽観的な見方である。常に取引高は相場の動きが大きく作用するため、何と比べて増加したかを測る物差しというものを見つけにくい。長期的に10年スパンぐらいでの比較であれば確かに市場は成長し取引高も増加したということを言いやすいが、2年程度ではなかなか言いきるのがむずかしいのではないだろうか。市場規模の議論として預かり資産と取引高を見るのだがその関連性というものはあまり細かく求めても意味あるものは出てこない。相場の動きが激しいのである。



【関連記事】
▼レバ25倍規制は本当に必要か(前編)[2010/11/15]
▼レバ25倍規制は本当に必要か(後編)[2010/11/22]
▼レバ25倍規制は本当に必要か(延長編)[2010/11/29]


■CFD


 2008年ごろから活発化しだしたCFDは大した成長を見せていない。これは予想通りだが、できれば現在FX、商品CFD、証券CFDそれぞれ口座を分けるというルールはなくなってほしいものである。これでは利便性が損なわれるだけでなく、投資家保護の観点からも得策ではない。あくまでも縦割り行政上の制約という以外の理由が見当たらない。欧州ではそもそも店頭FXもCFDの一部であるという前提で成り立っているのである。そこからさらに証券CFDと商品CFDすら別口座というのは商品を提供する側にとっても、それを受ける側にとっても難儀な話である。だからといって全部同じ口座でできるようにしても爆発的にCFDが活性化するとも思えない。欧州の場合、株の取引をCFDでやるほうが取引コストは安くなる(印紙税がない)という大きなメリットがあり、これが強いインセンティブとなったが、日本の場合それがないし、そもそもネット証券の取引所(市場)取引コストがすでに激安なのである。海外の株や商品をいろいろ取引したいという需要が大きく膨らまない限り、魅力は薄い。


プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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