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尾関高のFXダイアリー

米国証券会社FX参入ほか

 アメリカの3大ネット証券、TDアメリトレード、チャールズシュワブ、Eトレードが先ほど上場したFXCMとGAINのシステムを利用したホワイトラベルでの参入を検討しているらしいとWSJに出ている

アメリトレードは2009年にFXオプション等のデリバティブに特化した為替の会社(Thinkorswim)を買収している(プラットフォームがなかなかいいが、玄人向け)。今後この動きは加速しそうな気配もあるが、収益的にはさしたる規模を望むものではないらしい。せいぜい本業に比べて数%ぐらいの収益しか期待していない。この点、先行している日本と同様と言えそうである。昔からある証券会社がFXをする理由はあくまでも品揃えという意味合いが強いという印象を持つ。それ自体から本業に追いつくような収益を期待するとは思えない。本業収益100ならFXは10未満である。5でも成功かもしれない。個人的にはそう思っている。米国もしかりの様子。


日本のリテールFXの印象


上段の記事だけでは短いので、コラムの箸やすめとして、日本のリテールFXに対する米国人の印象について触れたいと思う。あくまでも私が接した人たちに限定しての話である。
米国の業界の人たちの間でも日本の(居住者による)取引高は世界一という認識を持っている人は多い。一方、その特殊性についても話題となる。


▼レバレッジが今年の夏には25倍になる。


前回30%ぐらい下がったが今回もそれぐらい下がるのではないかという意見もある。


私は「10%ぐらいだろうと予想する」というと、「であればいいけどね」と返される。


▼来年の税制優遇


民主党次第。期待薄。流れるかもしれない。


「一体日本の政治はどうなるんだ」という話になるので、そこで話題を変える。


▼主婦層が他国に比べて多い。


ミセスワタナベが代名詞、一般名詞となっている。「なんで主婦がそんなに金を持っているんだ?」


私にはよくわからない。主婦といえどもピンキリである。


▼テレビで宣伝するほど一般化している。


米国では一般民放チャンネルではそういう宣伝は見たことがない。いわゆる“ゆるきゃら”的なアプローチには見て困惑する。


「日本はそんなことしていのか!?」という受け止め方である。品がない、とかお下品的な言われ方には日本人として少々とまどう。ガラパゴスだから・・・・だけでは打ち返しきれない。そこが好き!という日本文化ファンもいるのだが。


▼スプレッド競争が激しすぎる。


一様に”Crazy!”という反応。「それで儲かるのも今のうちかもしれない」


というより儲けてないかもしれない。儲からなくてもいいとか。ひたすらパイを奪い取る戦略ならうなずける。ひたすら資本力。


▼異業種参入


金融と関係ないファンドや事業体が業者を買収して入ってきて、彼らが大体業界の50%以上のシェアを寡占している。これは日本だけの現象として特筆に値する。金融に素人が入って、それで成功するというのはどういうことか。


それだけ日本の金融がいろんな意味で甘いとも言えるし、成熟しているともいえる?


▼モデルがDIである。


円安が始まるとそういうモデルで沢山抱え込む業者は吹っ飛ぶのではないかと危惧する。


今それをやっている業者もぼーっとしているわけではないだろうから対応はしてくるはずである。それよりもほんとに円安は来るのか、という方が心配である。


▼金融庁のけん制


海外から手を伸ばしていた業者は大手どころで真面目な業者においてはその口座を閉じたり、現在日本居住者の口座開設を断ったりしている。一方、勧告(?)を受け入れない業者もある。罰則があるかどうかわからないが、日本で登録法人をたてるつもりのない業者ならではのやりたい放題なのだろう。そもそも、海外の業者をあえて使う人たちの動機というのはレバレッジ100倍だけか?そうではないだろう。。。



▼CTAとかヘッジファンドがないわりに異常に多い取引高


スプレッドが狭いから、セミプロみたいな連中が抜きまくるという世界か?海外からもそのスプレッドを見て口座を開きたいという問い合わせはあるが、逆に日本の業者は海外居住者を受けないところばかりである。


だからグローバルに裁定がはたらかない。これはいわば見えない関税障壁にも見える。欧米のように客に沢山CTAやヘッジファンドを抱える業者になると、DIで0.5銭スプレッドなど出しているとあっという間に干からびる。欧米業者がNDDモデルに傾斜する理由の一つの大きな違いである。

プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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