今後のFXとCFD業界にかかる規制やルールとして望むべきこと(2/3)
■明確な最良執行方針
欧州ではMiFID(European Markets in Financial Instrument Directive,欧州金融市場指令)が出す「最良執行方針の考え方」(Article21)に基づいて提示価格と注文約定のルールについての考え方とその実行における自己監視と報告が定められている。たとえば、
1)業者の提示する価格は、原資産の価格に業者によって課されるさまざまな費用が加えられる形で作られるという考え方の説明
2)原資産の金融商品に対して一貫した原理原則にもとづいて、最良執行結果とは何かを追及しているという前提に立って、原資産の価格がどのように決定されるかという説明
3)証拠金ベースのポジションに対して発生するファイナンシングチャージ(スワップ金利)の詳細
4)顧客が、いかに価格決定がなされるかをチェックし確認できるようなその他の情報
要するにできる限りガラス張りであり、最大限投資家に対して約定執行のプロセスやそれに伴う取引コストを「透明」にしようという努力が見える。
一方日本においてはCFD、FXともにいまのところ倍率規制(+強制ロスカット)と投資家保護を目的とした金銭信託にかかる規制が施行されつつあるだけで、上記のようなものは見当たらない。日本の証券会社文化にある、一見形骸化しているかに見える取引所取引を前提とした文面の「最良執行方針」をさらにもっと現実的に店頭にまで概念を広げての最良執行の基準や最低限のルールを定めることは意味があるのではないかと思う。
私の大体のアイデアは今までの私の原稿の中でも触れてきていると思うが、FXの場合、店頭なので何を原資産の客観基準に置くかを定義しなくてはならない。たとえば単にEBSのみとするのは危険である。その辺の底辺から議論したいところである。議論する場合は現在業界としてどのレベルまでIT化が進んでいるか、議論される新たなロジックやルールがシステム上で反映可能かという点にも気をつけながら進めなくてはならない。英国、欧州の規制の例を深く調査研究するのは無駄な時間を省くには合理的である。あくまでも日本の市場文化に則した形で取り込めるものは取り込めればいい。
「日本金融市場のガラパゴス化」などという言葉を最近ネットで目にするが、これは仕方がない。実際孤島なのだし、ガラパゴスで何が悪い、貴重だぞ!と開き直りたいところであるが、それができる前提として、そうしたガラパゴスルールを受け入れる孤島の投資家がおおかた納得しこれを尊重できることである。でないと、ガラパゴスの珍獣よろしくわれわれが単なる見世物になってしまう。
ある意味ではすでに十分珍獣の域に達しているとはいうものの、である。
>>FXとCFD業界にかかる規制やルールとして望むべきこと(3)に続く