今後のFXとCFD業界にかかる規制やルールとして望むべきこと(1/3)
FXとCFD、まとめて言えば個人投資家向け証拠金取引における規制やルールに関して、とりあえず今思い立つ以下の3点について、今回は3回に分けて話をしたいと思います。
それらは、
CFDとFXの口座との分離
最良執行方針の明確化
投資家の法的分類とサービスの差別化
です。どれも英国(欧州)では実施されているものです。
ではまず今回は口座管理にからむ縦割りの話から。
■CFDとFXの口座を強制分離するのは勘弁してほしい
現在CFDはFXの口座で一緒に取引ができるが、これが今後分けなくてはならなくなるという「噂」がある。業界として勘弁して欲しいところだが、覚めた目で見れば「予測」としてはそうなるだろうなと思っていたとおりのことが起きようとしているだけのことである。証取法と金先法が金商法に統一されて少し期待したが、やはり「期待」は裏切られそうな感触が伝わってくる。
英国、欧州では分ける義務はない。というよりイギリスでは、既にFXはCFDの一種類として法的にみなされている。オーストラリアでもそうなる動きである。であればこれらを分けるという発想そのものがない。時代の逆行となってしまう。合理性の観点から考えれば、そのほうがリスクを一元管理しやすいし、投資家保護の趣旨に合致しているし、業者のシステム開発やリスク管理もやりやすくなるからあたりまえといえばあたりまえである。かの規制当局は日本のように縦割りではない(現物市場と先物市場という横割りであるため原資産が商品だろうがなんだろうが金融デリバティブになれば一緒に管理監督できる)のでそういう素直な流れになる。
この異種金融商品(原資産が為替、証券、商品であり、昔の関連法がそれぞれ、金先法(現金商法)、証取法(現金商法)、商取法であり、監督官庁としては、金融庁、金融庁、経産省と農水省)をひとつの勘定に入れて市場リスクや与信リスク、また決済の管理をする「クロスマージニング」は欧米でヘッジファンドに対する金融機関のサービスとして発達してきたものであると思うが、これが個人レベルにも浸透してきたという流れに対して、日本だけは相変わらず逆行というか、いつまでも「縦割りの呪縛」から逃れられない。何のために金先法と証取法を一緒にしたのかと思う。
一緒にしない理由として、非公式にではあるがFXとCFDでは証拠金倍率の規制数値が違うとかいろいろ聞こえてくる。しかし、業者が採用する計算ロジックをよく見てもらえばわかるように、“そんなの関係ない”ではないか。そこに問題があるなら欧州でも規制とは関係なく業者がやっていないはずである。レバの比率は商品ごとに設定できるなら問題ない。
商品銘柄ごとに維持証拠金やロスカットレベルが設定できれば何の問題もない。ほとんどの業者のシステムではできる(やっている)ことである。むしろ一緒にするほうが個人投資家を保護するという目的に対して合致しているとすら思う。また、業務コストも余分にかけなくていい。まだ育つかどうかわからない商品CFDに対して独立したコストをかけていくのは業者としてもしんどいだろうし、投資家から見てもどこまでやるかわからないCFDを、別途口座を開いて資金を二重管理していくのは面倒である。リスク管理の機動性も失われる。
FXと同じ口座でCFDもできるからこそ、そこに広がりの可能性は増してくるし、リスク管理、コスト圧縮の点から見ても有利なことが多い。逆に分けなければならない理由として見えるのは単純な縦割り行政の影響ぐらいしかない。
金商法に統一されたとはいえそれは融合と呼ぶには程遠く、単なる「接着」にすぎず、相変わらず証取法と金先法が内側で別々に生きている事実を自ら露呈しているように見える。はやく商品先物も含めて三者融合してほしいものである。
一点気にすることは、証券CFDの場合で、個別銘柄を扱う場合は、現在の証券取引に要求されるモニタリング(相場操縦の有無)、5%ルールなどの適応などが必須になってくる。取引が現物だろうがCFDだろうが、その銘柄の相場にあたえる影響はまったく同じだからである。たとえば3%ルールの報告義務については、現物は個人が能動的に行う必要があるが、CFDでそれを行う場合は、その取引を行った業者が代わりに、その顧客の個別の同意を得なくてもする必要があるのではないだろうか。この辺の考え方は素直に英国、欧州の前例を参考にするのが簡単でいい。
>>FXとCFD業界にかかる規制やルールとして望むべきこと(2)に続く