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尾関高のFXダイアリー

追証とロスカットの同居のシナリオ

前章で触れると前置きしたので、今回このテーマです。

4%に有効残高がタッチしたとき(割り込んだとき)自動ロスカット機能のポイントをそこに置けば、追証もなにもない。追証する余裕がない。そこで、追証制度を取り込みたいという場合、4%でロスカットという条件を見直すことになる。では、2%でロスカットということにしたらどうか。これが法的に許されるとした前提[A]、 [B]での以下の話。


【前提】
[A] ロスカットは4%である必要はない
[B] 追証期限は翌営業日午後3時までとする

【シナリオ】
翌日の午後3時時点で、
 1)それまでに4%以上を回復してしまった場合、
	1.1)追証請求を解除
	1.2) 追証請求を解除しない
		1.2.1)追証が振り込まれた=OK
		1.2.2) 追証が振り込まれなかった
			1.2.2.1)強制ロスカット(手動となる)4%以上でも
			1.2.2.2)回復したので放置(結局解除したことになる)
 2)それまでに4%を回復しないが、2%以上である
	2.1)振り込まれた=OK
	2.2)振り込まれなかった
		2.2.1)時の時点で、マニュアルで強制ロスカットする
		2.2.2)放置?=>違法状態?
 3)午後3時時点になるまでに2%を割り込んだため自動ロスカット発動
	3.1)振り込まれていなかった=OK
	3.2)振り込まれたがカットに間に合わなかった
		3.2.1)なにも修正しない。間に合わずカットされるリスクは合意ずみ
		3.2.2)戻すー>これは現実的に不可能であり、しないはず。

ということで、自動ロスカット機能を保有している業者においては、前提[A],[B]がはっきりすれば対応可能になる。ただし、以下のデメリットがある。


【デメリット】
(1)業務負荷は増加する。
   (ア)顧客と追証についての電話のやり取りの量が増加する。
   (イ)手動によるロスカット業務が増加(新たに発生)する。
(2)手作業や顧客との会話が増える分、ミスや誤解が増加する
   (言った、言わないなど)紛議のもとになる。
(3)払う意思があったのに間に合わなかったためにカットされた場合に
   特に顧客からの苦情が出やすい(ただしネットバンキングがおこなわれていれば、
   そういうこともごくまれなケースになる)。
(4)この追証を利用して積極的にロスカットよりも追証を顧客に薦める(要求する)
   悪徳業者が復活する。
(5)投資家自身が本来のロスカットオンリーで割り切っていたことで 
   深みにはまらずにいられたのに、この追証によって、必要以上、 
   予定以上の資金をつぎ込むことになりかねない。誘惑の増加。
(6)ポジションを維持するライン(必要証拠金、維持証拠金)と
   ロスカットを実行するラインの設定を持たない業者は新たな
   システム開発費用がかかる。

「いや4%はロスカットラインだ」という見解は出てこないという前提であるが、改正案からはそうは読めない。もしそうだといわれたら、4%→5%、2%→4%というように閾値を引き上げることになる。さらに投資家には最大可能レバレッジがさがることになる。


プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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