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尾関高のFXダイアリー

CFD(Contract For Difference)について(2)- CFD取引とは

(前回からの続きとなります/前回コラムはこちらをクリック)


■商品先物

人気があるのは、金、原油です。金は現物価格がインターバンク市場でロコロンドンのスペックで取引されているので、FXとしても取引が可能です。日本において金が為替の範疇として扱うかどうかという議論自体が金商法においてどうなっているのか、勉強不足で私自身よくわかっていませんが、すでにそれを提供している証券会社が日本にあるので、解釈は別としてCFDとして認められていると推測します(※1)。原油の場合は、その現物価格市場というものが明確にしづらいので、このCFDは普通先物価格そのままでやります。ただし限月を設けずいわゆるシンセティックフォワードを無期限で継続させます。つまりの納会のない直近限月先物価格を継続的に取引するので、日歩が発生しないという違いが生まれます。


(※1)
金融商品取引法第35条第2項第2号(金融商品取引業等に関する内閣府令第67 条)の業務として定義されているようですね。

■FX

仕組みとしてはCFDとなんら違うところがないと思います。口座を分けるか分けないかはその国の法律の問題となります。法的に問題がなければ、あとはシステム的にドッキングが容易かどうかだけの問題であり、ユーザー側からすれば、当然同一口座のほうが便利です。


■決済

これらを横断的に、デリバティブとして位置づけるもうひとつのサービスとして次の点があります。世界中のそれらの市場を取引するとそれぞれドル決済とか円決済、ユーロ決済等になるのですが、決済した瞬間そのときのクロス円のレートを用いて最終的かつ同時に円決済できるという点です。これにより、各国の通貨事情に煩わされることなく、円で入金、円で決済、そして円を出金という簡単なものになります。ただし、評価損益は常に円で値洗いされるので、対象商品の相場xクロス円相場が影響することを忘れないでください。同じ含み益の10ドルがあっても、昨日のドル円が110円の場合と、今日のドル円が90円の場合では円ベースの評価益が違うということです。


■取引手数料

普通は価格に織り込まれます。一部DMAについて外出しの手数料をチャージするケースもあります。


■意義

まとめれば以下の4点です。

1.まず、世界中の証券(現物株、先物)、商品先物、FX市場を取引することが出来ること
2.それらをひとつの口座で一元管理できること
3.証拠金が従来の国内30%(レバレッジ3倍)から3%(レバレッジ30倍)程度まで引き上げられること(これは両刃の剣です)
4.すべて円決済で管理できること


■弱点

日経225先物だけを考えると、日本のネット証券の手数料(※2)は相当低いと思います。欧州のCFD業者と話しても、先物500円、先物ミニで50円(+消費税)は安い!といいます。果たしてこれに対抗しうるかどうかが見ものです。


(※2)
CFDの場合大抵手数料は価格に上乗せされています。

日本の投資家が海外の市場でまず意識するのが、NASDAQ(ミニ)、DJそしてS&P(ミニ)でしょうか。そこからドイツのDAXやイギリスのFT100に興味が拡大してゆけば、株価指数のグローバルポートフォリオを自分で組めるという少々金融インテリマニアっぽいことまでできるようになります。

また、海外の個別株を物色することも出来ます。BMWが好きだからその株を買うということも簡単にできます(株主としての権利はありません)。しかし、そういう人は全体の投資家人口からみればまだまだ少数だろうと思います。

FXで夜な夜な相場とお付き合いをしている人にとっては特に問題はないですが、そうでない人には夜遅くまで相場に付き合うのはしんどいと思います。


■信託保全

FXで一般化した信託保全ですが、CFDにまで拡大して保全するというスキームも今後は生まれるかもしれませんが、それまでは一般の預かり(分別管理)ですから業者の信用リスクを負うことになります。


■アメリカ

アメリカ合衆国はCFDを認めていません。既存の抵抗勢力の力が強いからでしょうか。知り合いの関係者に聞いても、たぶんCFDはアメリカでは解禁されないのではないかなという人もいます。日本は、そういう意味ではアメリカを跳び越して欧州並みの金融緩和が進んでいるという見方もできます。


■注意

規制が緩和され新たに魅力的な金融商品が生まれることは投資家にとって結構なことですが、昔の株取引と違い電話一本で「いくらで売って!」「成行きで10万買って!」という簡単なものではなく、個々の商品の仕様、リスク、そして取引システムの操作についてはよくよく理解する努力が必要となります。金融リテラシーはパソコンリテラシーと切っても切れない関係にあるということです。


■見通し

日本の株式市場においては現在の信用や先物からCFDに乗り換えるという期待はあまりしていませんが、新たな市場として海外の株式市場(現物株、先物)や金、原油の市場は十分魅力的だと思います。なにより、法改正の後、FXとCFDを同じ取引システム上に載せられるのは魅力的だと思います。これによって、やる商品ごとに違うシステムを立ち上げたり、証拠金を同じ業者内で振り替えたりする作業がなくなります。

10年かけて預かり約7000億円規模(矢野経済研究所による)に成長したFXと比較すると、既存の証券市場の亜流として存在するCFDはそこまでは行かなくても、業者の作りこみ次第では同じレベルまで成長する可能性はあるのではないかと思います。その鍵はやはりどれぐらい取引しやすいいいシステムを業者が提供するかということと、取引手数料をどこまで魅力的にできるかにかかっていると思います。また、他のアジアの株式市場(ハンセン、コスピ、シンセンなど)も対象となるのでこの辺も妙味のあるところです。

個人的にはFXが止まったら海外の株の指数を取引してみるというのはありだと思いますし、日本の株を持っている、あるいは日経225先物を持っているときに、夜間のNASDAQミニあたりで相場急変の際のヘッジをかけるというのは興味深い取引です。


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プロフィール

尾関高

Takashi Ozeki

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引~取引の仕組みからトラブル防止まで~」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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