レバ規制を前にした“定率制”と“定額制”モデルについて
8月から施行されるレバ規制50倍。多くの業者はこれ以上のレバを提供しているのでシステム的な対応をしなければならないところがほとんどだと思うが、実際にレバレッジを50倍以上でやっている対口座比率は全体の20%から多くても30%程度だろうと推測している(しかしそういう人が取引高の80%ぐらいを生み出しているのだろう)。10人に2人くらいという意味である。ほとんどの人は5〜10倍あたりのレバレッジでゆったりやっているはずである。そういう人には今回の規制はたいして関係ない。
【参考】金融先物取引業協会:FX取引の規制が変わります
その関係ない話のひとつ、“定率制”と“定額制”についてちょっと考えてみる。レバレッジ規制というのはどこの国もポジションの何%という言い方になるので、証拠金の計算が定額方式よりも定率方式のほうが、法律準拠という点では馴染みがいい。しかしユーザー目線で見ると、ドル円1万ドルで2万円という定額制のほうが単純で覚えやすい。定率だと、相場が動くたびにリアルタイムもしくはそれに近い運用で変化し続けるので暗記しづらいのは事実である。たとえばユーロドルだと、1万ユーロ分で2%として、200ユーロ掛ける現在のユーロ円レート122.44で、24,448円となる。この下の桁が刻々と変化するので正確な額を知るには暗算では心もとない。しかし、実際は単純にユーロドルなら2%で大体2万5千円と、ザクッと計算して余剰額と相談しながらさらに新規を建てるかどうかを考えるもので、すでに定率制に慣れている人は問題ないし、新たに固定から定率に変わるユーザーにとってもすぐに慣れるのであまり心配することはないと思う。余剰の計算は常に大雑把なものである。その大雑把さが余裕でできるぐらいの十分な余力は常に置いておかなくては市場と対峙する戦闘体勢として良い状態とはいえない。
定額制でも週単位での額の更新をすることでほぼ2%を守ることは可能だが、完全に2%丁度でロスカットすることを保証できるものではない。ならば週単位ではなく毎日変えるというのはシステム運用上あまり現実的には思えない(取引所のスパンパラメータも変更は一週間に一回)。どちらの頻度で運用しても、実際には円安に向かうと実勢レートから計算して2%未満でカットしたことになってしまうケースも出るだろう。これをどこまで運用上の限界(合理的解釈)として当局が許すのかについてはまだこれといった話は私の耳には入ってきていない。この辺は運用の曖昧さをよしとする領域であれば、問題があれば検査のときに指摘するというスタンスで進んでいくのかもしれない。
追証制度を取り入れて24時間まで待つ業者が、待った結果のカットで2%未満だったということが許される限り、実質システムを用いても2%未満でのカットが発生することが当局によって許容されると解釈(期待)するのは普通の感覚だろう。でないとシステムを定率制に変更しないかぎり本規制の“厳格”遵守は実現不可能となるか、無駄にカット水準の額を引き上げざるを得なくなる。