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マーフィーの日々是好日

思いと行動の違い

私たち生身の人間は、どうも頭で思ったり考えたりしていることと違った行動をとってしまうようです。その典型的な行動パターンが「損切り」です。

具体例として、このような例が挙げられます。豪ドル円を1ドル=105円の時に買い、当初は1ドル=103円程度になれば損切りをするつもりでポジションを持ったにもかかわらず、いざ、その局面になると損切り出来ず、ポジションを持ち続けます。

そして、1豪ドル=95円になると、どういう考えになるかと言うと、「もうすでに10円やられているわけだから、あと1円や2円やられてもあまり大きな差はない」などと、とんでもない判断してしまいます。そして、1豪ドル=90円を割る頃になると、途端に焦り始めるのです。

周りに意見を求めたりしますが、中には、一人で苦しんで自分を追いこんでしまう人もいます。そして、判断能力がなくなってしまった挙句に、1豪ドル=87円程度になって、絶望の中、損切りをしてしまうのです。実際に、その水準は、往々にして安値圏にとなってしまうことになります。

実のところ、相場とは、徹底的に、こちらの弱いところを試してきます。一旦、捕まったポジションに対して、相場の神様は、とことんまで、痛めつけてきます。まるで、こちらの覚悟を試しているかのように・・・・。

私は、実際に、ポンド円のケースにて、上記の類のトレードを行って多額の評価損(数千万円の損失)を抱えて苦しんでいるお客様から、友人でもある、あるFX会社社長を介して間接的に相談を受けました。私は、そろそろ、ポンド下げ局面が、「時間リズム的」に判断して限界的なところに位置しており、次第に底固くなるとの相場観を持っていると仲介の方には伝えました。しかし、同時に伝えたのは、まず一番にそのポジションを、「一旦はカット」した方が良いという私の考えでした。

その上で、ポンドが上昇すると判断すれば、もう一度買えば良いだけのことと、アドバイスしたのです。相場観云々を抜きにしてカットすることを勧めた最大の理由は、その投資家がすでに「ルール違反」をしていたからです。

当初の思惑では、1ポンド=205円近辺で買い、その時点では、1ポンド=200円程度に下げればカットするというトレードプランで行ったトレードです。幾ら、この下がった水準でカットしたらロスが大きく出ると言っても、その時点であれば、充分に損失を取り戻すことが出来るわけです。

ところが、実際のところ、その方が相談してきたのは、1ポンド=130円ぐらいの時です。その人がさらにロスを抱え込んで破産でもすると、もう回復どころか、将来のトレードでの収益チャンスを全て失うわけです。その人は、正しいトレード方法を学ぶ機会を失うことになるわけです。いや、仮に、ロスを取り戻すことが出来ても、悪い癖をさらに強めることになるのです。

ここで、重要なポイントは、ルールを守ることと収益を上げることは別だという認識です。ルールを守る習慣をつけないと、相場では決して成功しないのです。ルールを守ることがその時点では損失を出すことになっても全然構わないのです。

一方、仮に、ロスカットをせずにポジションをキープしていたお陰で、ポンド円相場の上昇につれて評価損が大きく減ったことを評価するという思考パターンは非常に危険です。実際のトレードでは、自分のルールに従って取引を続けていくと損失を計上することは当然起こりえます。そうすると、トレードを行う人は、どんどん自信を失ってしまうのです。

そこで、自分のルールに違反するようになり、結局、場当たり的なトレードを続けるようになってしまうのです。そうなると、結果は悲惨です。破産する可能性がどんどん上昇していくことになるのです。このブログをお読みの皆様は決してこのようなことがないことをお祈りしております。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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