予備知識がかえって災いすることもある
相場では、先入観や偏見を持って臨むことは非常に危険な行為です。例えば、円は地震の影響から経済が疲弊していることや、長期的に停滞しそうだということで円安になりやすいとか、世界経済のリスク回避志向から円高が進行し やすいといった先入観を持って相場に入っていくと、目の前の相場を観察する段階で、既に色眼鏡で判断する可能性が高まります。
また、日本は少子高齢化が進み、財政問題も根強く、将来に向けての不安要因が多過ぎるとの見方、考え方を背景に円安を決め込んでマーケットに入っていくのも危険です。
大体、日本人である私達は、自国通貨である円について、程度の差こそあれ、様々な予備知識を持っています。中には、円はこういうレベルであるべきだと言った「べき論」で相場を語る人もいるようです。そうなると、支離滅裂な論理が独り歩きし始めます。
昔、私は、ニューヨークに駐在していた当時、米国人のディーラー友達が、「米ドルが強くなるわけがない、こんなに政治・経済問題が多い国はないよ。」と話していたの を覚えています。確か、その時、私はと言うと、「いや日本こそ弱いよ。だから最後には円安になるよ。」などと答えていたものです。
結局、どの国でも、自国に関しては「あら」がよく見えるのか、自国通貨がそんなに強くなるわけがない、と言った風に思いたがる傾向があるようです。外国為替 相場ですから、2国通貨の交換レートを売買するわけであり、どちらの通貨がより強い、より弱いという綱引きとなるわけです。
そんな時に、下手に予備知識がある為に、自国通貨に関する弱い材料ばかりが目に付いたりするわけです。いずれにせよ、為替相場を相手とするトレードをする際 には、そのような中途半端な「予備知識」が仇となり、実際のトレードに対してデメリットを及ぼすケースが多いように見受けられます。
全くの素人がトレードする時に、意外と最初は上手くいくけれども、そのうちあれこれ勉強し始めた途端に上手くいかなくなるのも次元が似ているようです。相場とは簡単そうに見えて、やはり、実は奥深いということです。
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