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「ストップロス」の本当の意味とは

ストップロス(ロスカット)について質問されるケースが多いです。一般的に、初心者の方でも、最初に覚えるべきものとして認識されているからでしょう。

しかし、ここで問題があります。

それは、ストップロス(ロスカット)と言う「行為」は、こちら投資家サイドの勝手な都合で行われるものだということです。相場が、あるレベルを越えて逆方向に動いた場合に、ロスが膨らむことを避けようとするわけです。

しかし、相場は相場の都合で動きます。つまり、相手である相場にとっては、こちらの資金量、リスク許容度などおかまいなしだということです。

そもそも、ストップロス(ロスカット)の本来の目的は何でしょう?

それは、相場を見ていない時に、不測の事態が生じて、損失が膨らむのを抑えるためです。目の前で相場が動いている時は、こちらで判断出来るわけで、その心配はないのです。

ここまで書くと、もうお分かりだと思います。

すなわち、相場とは、上がると思うから買う、下がると思うから売るわけです。損失が出ているのを指をくわえて見ているのは誤った行為です。目の前の相場と仲良くしていれば、上昇トレンドで買い、下落トレンドで売るわけです。

エントリーのレベルをしかるべき判断基準で正しくしていれば、大きなロスにはなりません。あるのは、大きな利益か小さな利益、もしくは小さな損失です。

つまり、エントリーが正しく出来るということは、相場が買いか売りかの判断が正しく出来ることです。ある時点でロングポジションを持っていると仮定して、相場が下落に転じたと判断すればショートでエントリーするわけであり、結果として、ロングを手仕舞うわけです。

要するに、利食いも損切りも「ポジション調整」に過ぎないわけです。トレードとは、上昇なら買い、下降なら売る、その行為の連続であるということです。その途中において、利食い、損切りが起こるだけのことなのです。

以上からお分りになるように、ストップロスの正しい意味は、不測の事態で損失が大きくなるのを抑える為にストップロス(ロスカット)オーダーを置くということです。この不測の事態は、ほんの僅かの割合で、寝ている間や、日中でも突然発生することがあります。

ただ、その事態に備えるためにストップロス(ロスカットオーダー)を置くだけなのです。大事なことは何かと言うと、皆様は、相場を見て、しかるべき時にエントリーし、しかるべき時に手仕舞いすることだけを考えることです。正しくトレードすれば、その結果が、利益か損失を生むにせよ、大きな損失にはならないのです。

一般的にストップロス(ロスカット)の重要性ばかり強調されるのは、コーチングの怠りとしか思えません。特に、単にポイント数でオーダーを置くという発想は単純過ぎます。ある意味、逆説的ですが、「危険な行為」ですらあるのです。

マーケットのボラティリティがどうであるから、それに合わせてポイント数でオーダーを置くのなら分かります。しかし、一般的には、ただ単に、いくらのポイント数のところでオーダーを置くという方式が多いです。

そうではなく、もっと、相場そのもののエントリー方法、手仕舞方法に焦点を置くべきなのです。このことをお伝えするのが、正しいコーチングだと、私は思っています。

手仕舞いは、トレンド変化に従って行うわけで、それは時には利食いやロスカットになるだけです。ロスカットと言っても、正しい売買の結果としての損失に過ぎないのです。エントリー、手仕舞の結果がプラスになるかマイナスになるかだけの違いなのです。

正しい方法でトレードしていれば、プラスが大きく、マイナスが小さくなります。どうぞ、一番大切なことを目指して下さい。

大事なこと、それは、相場の見方であり、エントリーの仕方であり、手仕舞の仕方です。つまり、ストップロス(ロスカット)という行為そのものにばかり目をやる必要はないということです。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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