「感情」と「勘定」
「感情」と「勘定」は相場をやっていて、いつも直面する問題です。
相場をやっていると、自己資金を元手に出来るポジションが相場の動きにさらされて評価益になったり評価損になったりする過程で、喜怒哀楽が生じます。まさに、心情の変化を伴うわけです。
そして、当然のことながら、金銭の動きが生じるだけに、常に「勘定」が付いてまわります。取引画面の一部には、ポジションの損益が時価評価で刻々と表示される為に、「勘定」が目に焼きつけられるわけです。
資金管理やポジション管理の重要性を執拗に目や耳にしているだけに余計に評価損益の数値を気にしてしまうのも当然かもしれません。そして、その度に、人間が本来持っている煩悩がもたげてきます。
問題となるのは、この煩悩というものは、相場を上手にさせてくれる方向ではなく、相場を下手にさせる方向に働く傾向があることです。つまり、利を伸ばして、損を限定させるという「利大損小」という目標とは逆向きに作用するわけです。
すなわち、利が乗ってくると早く利食いたくなり、損が生じると耐えてしまうのです。利が乗ると、その評価益を失いたくないという恐れの煩悩が働き、損が生じるとその評価損を実現させたくないという、やはり恐れの煩悩が働きます。
それらの恐れの感情を引き起こす要因として、「勘定」するという行為があるとも考えられます。「とらたぬ」などは、その典型的な例と言えましょう。「取らぬたぬきの皮算用」ですね。
つまりは、「勘定」が様々な「感情」を引き起こし、煩悩を生じさせ、その結果、「利大損小」といった理想のトレードスタイルを実現する上での妨げの要因となるわけです。本来はポジションのコストを忘れることが出来れば究極のトレードが出来ると思うのですが、なかなか現実的には難しいものです。頭で分かっていても実行するには難しいということですね。
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