「木を見て森を見ず」について
「木を見て森を見ず」とは、近視眼的になっていること、大局観を持たず、全体を見通していないことです。尚、株式相場においては、個別株にばかり目がいってしまって相場全体の動きを見ていないことを指します。要するに、相場の格言として意味するところは、木(小さな動き)ばかり見ていては駄目であり、森(相場全体)を把握する姿勢が肝要だということです。
FXをやっていると、確かに、短期トレードは醍醐味があり、どうしても近視眼的になりやすい傾向があります。もちろん、短期の動きを追っていけば、結果として、相場全体を追うことも出来ます。しかしながら、いつも短期の動きにばかり目を向けていると、ここぞと言うタイミングを見失うことが起こってしまいます。具体的に言うと、短期足で見ている時に、強い相場に見えて、なかなかショートポジションを持ちにくい場面でも、中期足、例えば日足を見れば、絶好の売り場であるケースがあるということです。
さらに、短期足や日足で見ていて強い相場であって、週足ベースでは絶好の売り場であるケースもあり得るということです。要するに、より大きな時間軸のチャートを見ることで、相場の全体観を把握する習慣を付けておけば、せっかくのチャンスを見失う確率も減るということです。
少し具体的な話をすると、私の場合、普段、トレードしている時は、主に60分足を見るようにしていますが、朝一番は前日のNY終値が確定した段階で日足ベースのチャートを必ずチェックします。そして、一旦は、日足チャートを横に置きつつも、日中に大きな動きがある場合には、極力、日足チャートを確認するように努めています。
もちろん、重要経済指標の発表や重要イベントがあって、日中に短期に大きく動く相場であれば、それこそ5分足や1分足が最も功を奏するケースもあるのも事実です。尚、既にご承知の通り、スパンモデルやスーパーボリンジャーには、遅行スパンという強力なツールがあります。この遅行スパンの推移を見ているだけで、相場の大勢を知り、トレンドの方向性や勢いを確認することが出来ます。
すなわち、相場の大局観を得るための手っとり早い方法として、遅行スパンを見て、チェックするという便利さを実感して頂けると思います。いずれにしても、臨機応変に、その時の状況に応じて、時間軸を変化させることで、短期の世界、中長期の世界を交互にチェックする余裕を持って相場に臨むことが出来るに越したことはないということです。
尚、一般的に、「ファンダメンタルズ」を重視することが「森を見る」ことだと理解されている方もいらっしゃるようですが、確かに、観念論的には分からないではないものの、実際の相場においては、あまり有効ではないと、私個人的には思っています。こんな風に申し上げる私も、実際のところは、「ファンダメンタルズ」要因を一応はチェックしています。理由は、その時々に市場参加者がどの材料に関心が向かっているかを客観的に知っておく必要があると思っているからです。
あるニュースが出た場合、そのニュースがどの程度注目されていて、その結果、相場にどの程度の反応があったかをチェックすることで、相場の勢いを確認することが出来るからです。つまりは、相場材料の出現度合いに応じて、市場の「反応度合い」をチェック、判断しながら、相場のモメンタム(強弱)をより正確に見極めることが出来るからです。
要するに、自分に確固とした「トレード技術」さえあれば、市場参加者の関心が向かっている相場材料が何であるかを知り、理解しておく価値は充分にあるということです。
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