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マーフィーの日々是好日

マーケットは常に正しい

「マーケットは常に正しい」という言葉を受け入れるには、自分自身が相当謙虚でないと無理な話です。人間誰しも自分が可愛いわけですが、相場に関しても、どうしても自分の相場観が正しいと思ってしまう傾向があります。しかしながら、この「自分の相場観が正しい」というスタンスは時に仇となり、致命傷となります。

もちろん、自分自身が依って立つところの「相場判断技術」に対する信念はあるに越したことはありません。自分が長きに亘って経験してきたことへの自信めいたものもあって当然だと思います。自分が従っている判断基準を信じることが出来なければ、土台もなく、ふらついたものになってしまうからです。

しかしながら、もし仮に、目の前の相場の動きと自分の判断が違った場合に、果たしてどのようなアクションをとるべきか。ここで基盤となる考え方が、タイトルの「マーケットは常に正しい」です。

つまりは、相場の世界では、「想定外」という言い訳は許されません。一寸先は闇であるということ、そして、如何に自分の判断に自信があろうと、目の前の相場の動きが「正しい」ということを認めなければいけません。「だまし」という言葉を使う人は多いですが、相場には、「だまし」はありません。もし「だまし」と考えたいとしたら、それは、自分に相場判断能力がないことを素直に認めるべきだと思います。

また、このようなことも言えるかもしれません。ある情報を自分だけが知っていることは絶対にあり得ません。一方で、自分だけが知らない情報が存在する確率は限りなく高いです。如何に情報化社会が発展しようが、情報をベースにトレードすることはあまりにも危険です。何故なら、自分にその情報が自分の元に届く時には、既に、ほぼ完全にマーケットに織り込まれているからです。

世の中には、相場はこういうレベルであらねばならないと、金融当局の人でさえ口に出来ないような意見を述べる人がいます。相場を「べき論」で語る人です。円安になれば日本の景気は良くなるとか、日本は資源輸入国だから長期的に円高は望ましいとか、実に勝手気ままな相場観を披露するのです。そのような方が相場でポジションを持つと、とんでもないことになるのは、簡単に想像出来ますね。

いずれせよ、従うべきは、自分の相場観ではなく、自分の「トレード技術」そして、「トレード技術」に基づいて自分が作った「トレードルール」です。自分 の「トレード技術」に基づいたものが自分の「相場観」だとすれば、それはもちろんOKです。すなわち、判断根拠さえ具体的かつ明確なものであれば良いわけです。

その意味では、「相場判断技術」や「トレード技術」に基づいて得られる見方のことを「相場観」と呼ぶのであれば、この「相場観」は大歓迎ということになります。「こうなれば、ああなる」「ああなれば、こうなる」と言う風に、きっちりと判断根拠があるからです。つまりは、正しいアプローチということになるわけです。

とにかく、「マーケットは常に正しい」ということを謙虚に受け入れる姿勢が相場の世界で生き残るには必須となります。このことは、私が偉そうに言うことではなく、あくまで、自分が高い「授業料」を払って学んだ「処世訓」です。尚、皆様が高い「授業料」を払わなくて、ご自分の身体に叩き込むことが出来れば、それに越したことはないと思います。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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