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マーフィーの日々是好日

トレードスタイルについて

「トレードスタイル」について考察してみたいと思います。

相場のスタイルを考える時に、ポジション保有時間によって、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードという3種類があるのはご存じかと思います。多くの個人投資家の皆さまがFXの世界に入ってこられる時に、これら3つのトレードスタイルがあることを知らされます。

しかし、考えてみると、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードと、3つに分けること自体、相場に主軸を置いて考えると、ナンセンスかもしれません。

どういうことかと言うと、同じ相場を相手していて、取るポジションは全て同じであるわけで、デイトレード用、スイングトレード用、ポジショントレード用と分けるのは、やはり、こちらの勝手、都合であるということです。それでも、デイトレードとそれ以外のトレードと分けるのは、比較的、実態に適っていると思います。

ポジションの観点から言うと、日中に完結させるポジションとそうでないポジションということです。デイトレードは、起きている間にポジションを取り、寝る前にポジションを手仕舞う、もしくは、日中、マーケットをウォッチ出来る間にポジションを取り、同じく、マーケットをウォッチ出来る間に手仕舞するものです。

このデイトレード以外のスタイルは、宵越しにポジションをキープするもの、就寝時にポジションを保有し続けるものです。私自身、以前、銀行でディーラーをやっていた当時は、「オーバーナイトポジション」を持つ、持たないという判断基準でポジションを考えていました。

すなわち、当局の指導、監督の下、日中のポジションは限度がないものの、夜のある決まった時間において、銀行として保有出来る限度額が決まっていたわけです。今でも、限度額のようなものはあるはずです。要するに、「オーバーナイトポジションリミット」ということです。いずれにせよ、宵越しで持つポジションかどうかの違いであったわけです。

そして、さらに翌日も宵越しで持つポジションを「オーバーナイトポジション」と区分けしていただけだったのです。日中に持って、その日の内に手仕舞うか、それとも、翌日まで持ち越すかだけの違いであるわけです。

それが、個人投資家にFXが広まるようになって、いつの間にか、「デイトレード」、「スイングトレード」、「ポジショントレード」という名前が使われるようになったようです。

私自身は、ポジションを以下のように分ければ良いと思っています。
1)自分がすぐにアクションを取ることが出来るポジション
2)自分がすぐにアクションを取ることが出来ないポジション

(1)はデイトレードでもスイングトレードと呼んでも良いですし、(2)はスイングトレードでもポジショントレードと呼んでも良いです。そもそも、「デイトレード」と「スイングトレード」の違いと言いますが、個人の場合は、ポジションリミットが決められているわけではないですし、本当のところ区別する意味はないと思われます。

個人投資家の中には、デイトレードで持ったポジションが、上手くいけば寝るまでに利食いを入れるけれども、上手くいかなければ利食いとロスカットだけを置いて就寝される方もいるようです。まさに、相場の動きとは関係なく、自分のポジションが、利が乗っているかそうでないかで分けてしまっているケースが見られるわけです。

相場は延々と続いていますが、例えば、相場の判断を行った時点で、まさにトレンド発生と判断出来、その方向にポジションを持ったとします。その場合は、すぐに利食いをするよりも、そのトレンド方向に相場が推移、展開することを見込んで、利食い注文を入れる、そして、不測の事態発生に備えてロスカット注文を入れることが通常のトレードとして考えられます。つまりは、相場の動きに応じて、ポジションを宵越しで持つか、そうでないかを決めるわけです。

この辺りの判断の基準はあくまで相場を主体と考えています。相場の都合に合わせて自分のポジションを操作しているわけです。ですから、正しいアプローチと言えます。

一方で、自分の都合を主体に考えるとポジションの取り方が変わってきます。つまり、自分がマーケットをウォッチ出来る間にだけポジションを持ち、手仕舞うという方法、もしくは、マーケットをウォッチ出来ない時もポジションをキープするものとして、スイングトレードやポジショントレードを行うというものです。

決して間違っているわけではないのですが、自分の都合を中心にトレードを行うとなると、このような方法、区別をすることになるという認識をしておくことが大切だということです。

例えば、日中にマーケットをウォッチ出来ないから、日足終値ベースでポジションを取るという「スイングトレード」や「ポジショントレード」を行うことを否定するわけでないのですが、このような考え方、アプローチは、相場に重きを置くのではなく、自分の都合に重きを置いているのだということを自覚し、認識しておけば、様々な問解決につなげることが出来るようになります。

そもそも、マーケットの流れを判断し、その流れに沿ってポジションを造成し、さらにキープしていくのが本来のポジションテイクです。そして、その流れがひと段落したと判断した時点で、一旦手仕舞うというのが、あるべきトレード本来の姿です。

この過程において、私達が生活している時間帯というものがあるわけです。起きている時間、寝ている時間、仕事している時間等々です。それらの時間には、マーケットをウォッチ出来る時間とそうでない時間があります。

問題は、相場は、相場そのもののタイミング、リズムで推移、展開していきますので、相場の時間リズムとこちらの都合の良い時間とが必ずしも合致するとは限りません。そこで、起きている時、マーケットをウォッチ出来る時に、ポジション造成から手仕舞まで完結すれば、結果として、デイトレードと呼べるかもしれません。

もしくは、日足ベースなどで、トレンドに乗ったポジションをキープしながらのトレードとなると、当然のことながら、就寝時にもポジションを持つことになり、その結果として、いわゆる「スイングトレード」や「ポジショントレード」になるわけです。ここで言う「結果として」という点が重要なポイントです。

つまり、初めから、ポジションの保有期間を決めつけてしまわない方が、理想的な売買のスタイルに近づくということです。相場が展開していく過程において、そのポジションをどう処理するかを考えることが望ましいのです。

要するに、大切なことは、相場を主体にしてトレードを考えることです。相場が経過していく中で、自分がどの時間軸の世界でポジションを取り、手仕舞うかを計画することがとても重要な部分となります。自分の都合を全面に押し出すと、相場と友達になることは出来ません。相場と友達になるとは、相場の流れに自分のポジションを合わせるということです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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