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ポジションのコストを忘れてみる?!

トレードは簡単ではありません。いきなり、敢えてこのことを申し上げておきたいと思います。

これからFXを始める人、FXを始めても間もない人、FXを相当続けているが満足な結果を得られていない人に対して特に強調しておきたい点です。

確かに、FXは買うか売るかしかありません。しかし、だからこそ、難しいと言えるのです。買うか、売るかは、得するか、損するか、善か悪かという二元論につながります。

買うこと、売ることは、ただの行動ですが、その結果としてもたらされるのは、収益か損失です。そして、ほとんど自明の理と言えますが、「収益」は「善」であり、「損失」は「悪」であると思われるのです。このことがFXを殊のほか難しくしているという事実に気付く必要があると思います。この「二元論的発想」が危険な状態をもたらすのだという点に気づくことが大切です。

トレードでは、「利食い」と「損切り」があります。「利食い」は「善」であり、「損切り」は「悪」であると思われています。ですから、「善」である「利食い」は早く実現したくなります。

一方、「悪」である「損切り」は出来ることなら実現したくないのです。この感情がトレードという一見簡単な「行動」を複雑怪奇にさせ、時には、事態を悪化させます。

さらに、トレードの最中に、感情が大きなウェイトを占めてくると、最悪の事態となります。何故ならば、私達が相手にしている相場は、できるかぎり、感情を排除しなければ付き合えないからです。このことが、相場に参加することを難しくしている背景でもあります。

ところで、自分のポジションのコストを忘れることが出来れば、目の前の相場が違って見えてくると思います。もちろん、現実問題として、自分のポジションのコストを忘れることは出来ないかもしれませんが、そう努める心構えが大事です。

「デモトレード」ではどうか、という意見もありますが、人間の心理状態を考えると、実弾であるかどうかは大きな違いです。

ただ、最初のうちは、「デモトレード」は良いアイデアです。初心者の方の場合は、「デモトレード」でも、それなりの臨場感を味わえるからです。そして、少し慣れてくれば、最小限のポジションでマーケットに参入することは大変有意義です。

ところで、自分のポジションのコストを忘れる一番手っ取り早い方法は、ポジションのサイズを減らすことです。たとえば、千通貨単位でトレードしてみることです。幾ら千通貨単位のポジションだと言っても、それがアゲンスト(逆向き)にいけば損失には違いないですが、恐怖感の度合いはかなり軽減されます。

そして、次第にマーケットの流れについていけるようになれば、利食いを覚えます。損失確定のトレードも経験してみましょう。敢えて、損失確定のトレードをすることは意味があります。その時の感覚を味わうのです。世の中でマーケット関連用語として、使われる表現として、「損失覚悟の〜」という言葉ありますが、言い得て妙があります。

これに関してですが、例えとして、初めて自転車に乗った時のことを思い出して下さい。一度倒れて、転ぶ練習をしておけば、自転車に乗る恐怖感は激減します。柔道の「受身」と同じとも言えます。つまり、上手く倒れる練習をしておけば、怪我をする危険度が小さくなるからです。

損失確定は悪ではありません。利益確定か、損失確定かは、あくまで結果です。自分のポジションのコストを少しでも忘れることが出来れば、マーケットの流れについていくことがより簡単に出来ます。

大事なことは、目の前のマーケットと付き合うようにすることです。自分が利益を出そうが、損失を出そうが、マーケットはお構いなしです。自分が相手にするのは、自分のポジションのコストではなく、マーケットだということを忘れないでおきましょう。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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