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マーフィーの日々是好日

「ルールを守ることの大切さ」について

私たち生身の人間は、どうも頭で思ったり考えたりしていることと違った行動をとってしまうようです。

その典型的な行動パターンが「損切り(ロスカット)」です。

具体例として、このような例が挙げられます。

ポンド円を1ポンド=160円の時に買い、当初は1ポンド=155円程度になれば損切りをするつもりがいざとなると出来ず、持ち続けます。そして、1ポンド=150円になると、どういう考えになるかと言うと、「もうすでに10円やられているわけだから、あと2円、3円やられてもあまり大きな差はない」などと、とんでもない判断してしまいます。

そうして、1ポンド=145円を割る頃になると、途端に焦り始めるのです。周りに意見を求めたりしますが、往々にして、一人で苦しんで自分を追いこんでしまうものです。

そして、判断能力がなくなってしまう頃に、1ポンド=140円程度になって、絶望の中、損切りをしてしまうのです。このように追い込まれた状況下で損切りをすると、そのレベルが「ど底」か「ど高値」となってしまうことが往々にしてあるのです。

私は、かつて、価格のレベルこそ違いますが、実際に、高い価格でのポンド円相場のロングポジション(買いポジション)を抱えて、多額の評価損で悩んでおられる個人投資家様から、友人を介して間接的に相談を受けたことがあります。

私は、そろそろ、ポンド下げ局面が、「時間的」に判断して限界的なところに位置しており、次第に底固くなるとの相場観を持っていると仲介の方には伝えましたが、同時に伝えたのは、まず一番にそのポジションを一旦はカットした方が良いという考えでした。

その上で、ポンドが上昇すると判断すれば、もう一度買えば良いだけのことと、アドバイスしたのです。

相場観云々を抜きにしてカットすることを勧めた理由は、その投資家がすでにルール違反をしていたからです。当初、1ポンド当たり幾らになれば損切り(ロスカット)するというトレードプランで行なわれたトレードです。

幾ら、この下がった水準でカットしたらロスが大きく出ると言っても、その時点なら、幾らでもやり直すことが出来るわけです。その個人投資家がさらにロスを抱え込んで破産でもされると、もう回復どころか、将来のトレードでの収益チャンスを全て失うわけです。

その個人投資家は、正しいトレード方法を学ぶ機会を失うことになるわけです。いや、悪い癖をさらに強めることになるのです。

実は、その後、ポンド円相場は大きく戻すことになりましたが、それは「結果論」です。恐らくその個人投資家は、悪い癖を治すことなくその後もトレードを続けたかもしれません。

ここで、重要なポイントは、ルールを守ることと収益を上げることは別だという認識です。ルールを守る習慣をつけないと、相場では決して成功しないのです。

たとえ、ルールを守ることが、その時点では損失を出すことになっても全然構わないのです。

ある時点で、ロスカットをせずにポジションをキープしていたお陰で、相場の回復につれて評価損が大きく減ったことを評価するという思考パターンは非常に危険です。

実際のトレードでは、自分のルールに従って取引を続けていくと損失を計上することは当然起こりえます。そうすると、トレードを行う人は、どんどん自信を失ってしまうのです。

そこで、自分のルールに違反するようになり、結局、場当たり的なトレードを続けるようになってしまうのです。そうなると、結果は悲惨です。破産する可能性がどんどん上昇していくことになるのです。

ここに集まる読者の皆様は決してこのようなことがないように、お祈りしております。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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