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マーフィーの日々是好日

市場の売買主体を気にしないことが大事

売買主体とは、市場のプレーヤーとも言えます。一般的に言う、銀行や証券のトレーダー、ヘッジファンド、機関投資家、輸出入業者、そして個人投資家などのことです。

さて、次のような解説記事を読まれることも多いと思います。「ファンド筋がユーロを大量に買った」「輸出業者がドル売り注文を大量に出している」「個人投資家が豪ドルを大量に買っている」等々。

ここまでは、まだ1つの情報として良いのですが、ファンド筋がユーロを買ったからユーロが上昇した、輸出業者がドル売り注文を大量に出したからドルが下がった、等々というコメントは、的を得ているようで、実のところは、相場の本質を衝いていないのです。

実のところ、例えば、1000本(10億ドル)の買いが入っても下がる時はあっさりと下がります。誰が買った、誰が売ったと言う情報を好む、もしくは追っている以上は、いつまでも経っても自分のトレードスタイルは確立しませんし、その結果、収益を残すトレードが出来るようにはならないと思います。

先ほどの情報をこのように理解することも出来ます。つまり、ユーロが上昇する局面でファンド筋がユーロを大量に買った、ドルが下がる局面で輸出業者がドル売り注文を大量に出した、と読むのです。これなら、かなり、実態に近い「相場解説」となっています。

私がお伝えいしたいことは、一見極論に聞こえますが、世の中の大半の相場解説は、多分に「作文されている」ということです。したがって、皆様は、そのような、相場解説者によって作られた文章を読んでもご自身のトレードにとっては、実は残念ながらあまり有益ではないということです。

そももそ、市場には常に買い手と売り手が存在しています。誰かが買ったら誰かが売っています。当然のことですね。そして、どの通貨ペアにしても、相場が上昇すると買い手の話が引き合いに出されます。相場が下落すると売り手の話が引き合いに出されるわけです。その方が、解説する側にしてもその解説を受け取る側にしても「しっくりくる」からです。

もし、仮に、以下のようなコメントを見たらどのように感じられますか?

例えば、ユーロが上昇する局面でファンド筋がユーロを売ったらユーロが上がった、ドルが上がる局面で輸出業者がドルを売ったらドルが上がった、という風な内容のコメントです。恐らくは、「一体何を言っているの?」「相場の動きの解説になっていないじゃない」という批判めいた発言が飛んできそうです。しかしながら、実際の相場では、このコメントのような事態が頻繁に生じているのです。むしろ、大半はこのようなケースかもしれません。

早い話が、相場が上がるか、それとも下がるかが問題であって、誰が買った、誰が売ったなどという解説はあまり意味がないということです。ですから、先ほどあったように、ユーロが下がる局面でファンド勢がユーロを売っていたとコメントの方がよほど実態に合っているわけです。

市場の売買の主体を追いかけていってもかなりの部分は徒労に終わるだけだと私は思います。ファンド勢の売買動向が取り上げられても、それは、全世界に星の数ほどある全てのファンドのほんの一握りなのです。ましてや、コメントを書く人の判断によって、相場の上げ下げの後講釈の為にファンド勢が買った、売ったなどという解説をつけているだけというのが実情なのです。

一番大切なことは、相場が上がっているのか、下がっているのか、トレンドがあるのかないのか、トレンドの強弱(モメンタム)はどうなっているのかということを自分の目でチェックすることです。さもないと、真の投資家、トレーダーではなく、単なる「講釈師」に終わってしまいます。それだけは避けたいところですね。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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