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マーフィーの日々是好日

買うか、売るか、何もしないか

相場の世界には、こんな言葉があります。「買うか、売るか、何もしないか」。

すぐにお分かりになると思いますが、相場に参加するとは、買うべき時に買うか、売るべき時に売るか、休むべき時に休むか、いずれかだということです。「買うべき時に買う」「売るべき時に売る」というのは、上昇トレンドと判断すれば買う、下降トレンドと判断すれば売るということを指します。そして、「休むべき時に休む」というには、相場が、小動きの保ち合い相場やレンジ相場と言った、主にトレンドレスの局面にて、次なるチャンスを狙いつつも、ポジションを持たないことを指します。ここでは、敢えて、レンジ相場で行う「レンジトレーディング」を排除して考えます。

この3つのアクションをしかるべきタイミングで断固として取れる人がトレードで成功する人です。至極当たり前のことを申し上げているようですが、実は、このことが出来ない人が多いのが実情です。つまり、四六時中、マーケットに入って、いつも焦ってポジションを取ろうとしている方が意外と多いようです。

ここで申し上げたいことは、個人投資家の方は、相場が分からない時には「何もしなくて良い」という「特権」があるということです。実は「プロのトレーダー」と言うのは、結果としてそれほど収益を上げることは出来ていません。「結果として」と言う意味は、長きに亘ってのキャリアプロフィット(生涯収益)と言う意味です。

彼らは、もちろん色々とマーケットのことを研究し、大変な努力もしているのですが、収益を上げることもあれば、損失を計上することも多いのが実情です。その1つの原因が、毎日、収益を上げるプレッシャーを受けていることです。単純に言うと、組織に属しており、予算目標、収益目標を持ってトレードしている以上、毎日毎日、常に、相場と対峙して収益を狙い続けなければならないわけです。

従って、いつも、強い相場観を持って、勝率に自信のあるトレードを行う局面が続けば良いわけですが、当然のことながら、そうはいかないのが相場です。つまり、自分の相場観に自信がない、どちらかと言うと様子見したい局面と遭遇する場合に、何もトレードしない勇気ある行動を取れるかどうか、大きな課題となってくるのです。

期の初めから順調に予算目標に沿って収益を伸ばしていければ良いわけですが、現実問題、そうは甘くないのが相場であることは皆様ならすぐに想像出来ることかと思います。そんな時に、相場から一歩引く、トレードを休むという英断を下せる「プロのトレーダー」はそれほど多くないのが実情です。このことは、組織に属していることの宿命と言っても良いかもしれません。

相場では無理をすることはただリスクを高めるだけです。大難の相場に手を出さないこと、小難の相場でも慎重になること、そして、無難な相場を見極めて、エントリーすることが何よりも肝要です。

個人投資家の皆様は、自分が得意とするパターンの相場を選んでエントリーすることが出来るという「特権」をお持ちなのです。「相場を休む」ことが出来る「特権」を生かさない手はないわけです。「相場を休む」と言うのは、相場を何も見ないことを意味するわけでなく、しっかりと観察し、チャンスが到来したと判断すればいち早くエントリー出来るよう、準備し続けるということです。俗に言う「ポジポジ病」は初心者が一番簡単に陥り易い「悪癖」です。どうぞ、この点を自覚されて、ゆっくりと進まれることをお勧めします。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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