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マーフィーの日々是好日

投資、トレードに大切な考え方(松居一代さんの例も引用)

昨日の日本経済新聞のコラム欄に女優でエッセイストでもある松居一代さんのお話しが掲載されていました。彼女は、投資家としても知られており、その巧みな投資方法や投資哲学には目を見張るものがあります。

今日のコラム欄にも、そのエッセンスとも言うべきポイントが書かれていました。それは、「常に守っているのは値上がりしたら腹7分目で迷わず売り、決断後は振り返らないことです。投資は自分との戦いです。まだ値上がりしそうと欲を出すと、売って利益確定する機会を失いますからね。」とあります。実に、投資、トレードの本質を究めていらっしゃる言葉だと思いました。

さて、改めて申し上げますが、実のところ、トレードは簡単ではありません。

最初に敢えてこのことを申し上げておきたいと思います。

とりわけ、これからFXやCFDを始める人、FXやCFDを始めても間もない人、FXやCFDを相当続けているが満足な結果を得られていない人に対して特に強調しておきたい点です。

確かに、トレードは買うか売るかしかありません。しかし、だからこそ、難しいと言えるのです。

買うか、売るかは、得するか、損するか、善か悪かという二元論につながります。買うこと、売ることは、ただの行動ですが、その結果としてもたらされるのは、収益か損失です。

そして、ほとんど自明の理と言えますが、収益は善であり、損失は悪であると思われるのです。このことがFXを殊のほか難しくしているという事実に気付かれる必要があります。

トレードでは、「利食い」と「損切り」があります。

「利食い」は善であり、「損切り」は悪であると思われています。

ですから、善である「利食い」は早く実現したくなります。一方、悪である「損切り」は出来ることなら実現したくないのです。

この感情が事態を悪化させます。感情が大きなウェイトを占めてくると、最悪です。

何故ならば、私達が相手にしている相場は、感情を排除しなければ付き合えないからです。このことが、相場に参加することを難しくしている背景でもあります。

ところで、自分のポジションのコストを忘れることが出来れば、目の前の相場が違って見えてくると思います。もちろん、自分のポジションのコストを忘れることは出来ないかもしれませんが、そう努める心構えが大事です。

「デモトレード」ではどうか、という意見もありますが、人間の心理状態を考えると、実弾であるかどうかは大きな違いです。

ただ、最初のうちは、「デモトレード」は良いアイデアです。初心者の方の場合は、「デモトレード」でも、それなりの臨場感を味わえるからです。

そして、少し慣れてくれば、最小限のポジションでマーケットに参入することは大変有意義です。自分のポジションのコストを忘れる一番手っ取り早い方法は、ポジションのサイズを減らすことです。

幾ら1000ドルのポジションだと言っても、アゲンスト(逆向き)にいけば損失には違いないですが、恐怖感の度合いはかなり軽減されます。

そして、次第にマーケットの流れについていけるようになれば、利食いを覚えます。そして、損失確定のトレードも経験してみましょう。敢えて、損失確定のトレードをすることは意味があります。その時の感覚を味わうのです。

初めて自転車に乗った時のことを思い出してみましょう。一度倒れて、転ぶ練習をしておけば、自転車に乗る恐怖感は激減します。

損失確定は悪ではありません。利益確定か、損失確定かは、あくまで結果です。また、結果そのものが出たら、あとは忘れるくらいがちょうど良いです。もちろん、結果に至った自分の行動についての反省は大歓迎です。

尚、自分のポジションのコストを少しでも忘れることが出来れば、マーケットの流れについていくことがより簡単に出来ます。目の前のマーケットと付き合うようにしましょう。自分が利益を出そうが、損失を出そうが、マーケットはお構いなしです。

自分が相手にするのは、自分のポジションのコストではなく、マーケットだということを忘れないでおきましょう。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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