トレードに役立つ行動経済学
「行動経済学」という学問がありますが、人間の不合理な行動に関して、色々と教えてくれます。
たとえば、一般的に、「利大損小」(利益を大きく、損失を小さく)が大事であるとよく言われますが、それには訳があります。それは、人間というものは、「普通に行動」、つまり、「自分の思い通りに行動」すると、「利小損大」」(利益が小さく、損失が大きく)になるからです。
すなわち、私達がトレードにおいて「得」に直面する場面では、リスクを回避しようとし、「損」に直面する場面では、リスクを取ろうとする「習性」を如実に教えてくれます。
そして、この、悲しいかな「習性」が「利小損大」につながってしまうのです。
ポイントは、トレードするに際して、評価益が出ていれば、それを早く実現しようとし、評価損が出ていれば、リスクを敢えて取ることで、評価損を減らすことを望む傾向にあるようです。
以下の質問は、「ねじれ脳の行動経済学」(古川雅一著)から一部抜粋しております。ちなみに、本問は決して「確率論」と言う学術レベルの問題でなく、もっと単純に捉えて、感情面の問題として答えて頂いた方が、肝心なポイント、本質を理解しやすいです。
■問題1
今、5万円の賞金を得たとします。そして、これから、これから次のクジを選ばなければならない場合、どちらを選びますか?
(1)確実に1万円がもらえるクジ
(2)確率30パーセントで3万円もらえるが、確率70パーセントで何ももらえないクジ
■問題2
今、8万円の賞金を得たとします。そして、これから、これから次のクジを選ばなければならない場合、どちらを選びますか?
(1)確実に2万円取られるクジ
(2)確率30パーセントで何も取られないが、確率70パーセントで3万円取られるクジ
以下、簡単に解説をします。
問題1に関して、
クジ(1)を引いた場合、確実に6万円になります。
クジ(2)を引いた場合、確率30パーセントで8万円になり、確率70パーセントで5万円になります。
問題2に関して、
クジ(3)を引いた場合、確実に6万円になります。
クジ(4)を引いた場合、確率30パーセントで8万円になり、確率70パーセントで5万円になります。
このように、クジ(1)と(3)、クジ(2)と(4)は表現が異なるだけで、自分の手元に残るお金は同じであることが分かります。
しかしながら、不思議なことに、一般的に多くの人は、問題1では、クジ(1)を、問題2では、クジ(4)を選ぶ傾向にあるのです。
これは非常に興味深い現象です。
私達は、一般的に言って、問題1のような、「得」に直面する場面では、リスクを回避しようとし、問題2のような「損」に直面する場面では、リスクを取ろうとする「習性」があることを、上記の質問は如実に教えてくれるのです。
同じように頭を使って考え、合理的に行動したと思っていても、人間とは、リスクを回避したい場面と、リスクを好んで取る場面があるということを教えてくれます。私なりに解釈すると、要するに、私達、生身の人間は、利益は早めに実現しようとする一方で、損失は何としても避けようとする「習性」があるようです。
しかも、自分では合理的に考えて行動しているように思えても、実際の行動は、実は合理的ではない結果となっていることに気づく必要があるのです。
スパンモデルやスーパーボリンジャーを用いたトレード方法のメリットは何かと言うと、このような人間本来が持つ「習性」をしっかりと認識した上で、「行動経済学」的に編み出された手法であるとご理解頂ければ幸いです。
私達は、自分の「弱さ」を知る必要があります。それは決して恥ずべきことではありません。その自分の弱さを認めた上で、より合理的、納得のいく行動を取れるようになれば、自ずと結果はついてくると思います。相場をやるとは、自分という人間を知る過程でもあると、改めて思う次第です。
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