相場材料は「ファッション」
私達人間は、どうも自分に都合の良いものばかりを見たがるようです。もしくは自分の勝手なように解釈する傾向があるようです。ある出来事、事象に対する、反応、解釈、理解が人によって異なるわけです。
このことを、相場に当てはめて考えてみましょう。
あるチャートを見ていても、自分がブル(強気)なら、相場が上昇するように見えます。しかし、自分がベア(弱気)なら、相場が下落するように見えます。
チャートだけではありません。経済データ等、ファンダメンタルズについても同じことが言えます。ある経済データを強いと見るか、弱いと見るか、意外なほど千差万別です。まして、予想比良いとか悪いとなると、その数値自体の意味はさらに薄れます。
いずれにしても、マーケットの反応というのが一様でない背景でもあります。ですから、実際にトレードをしていても、ある人は、ロングポジションに拘ります。また、ある人は、ショートポジションに拘ります。
また、その投資家が経験したマーケット環境の影響も大きいです。例えば、ドル安の時代にトレード始めた人は怖くてドルを買えません。一方で、ドル高の時代にトレード始めた人は怖くてドルを売れません。
実際のところ、私が為替を始めた1984年頃、先輩に、金利の高い通貨は弱いものと教えられました。弱いから頻繁に売り浴びせられました。具体的に言うと、ポンドです。弱いファンダメンタルズの国、英国の通貨であるポンドは弱い通貨であるから金利が高かったのです。弱い通貨だから、金利を高くして防衛する必要があったわけです。
金利が高いことは「売り材料」だったのです。しかし、時代が変わると、相場展開が変わりました。一時は、高金利通貨が好んで買われたのです。金利が高いことが「買い材料」だったのです。この現象は皆様が良くご存じのケースですね。
また、こんな例もあります。アメリカの双子の赤字(貿易赤字、財政赤字)がクローズアップされた時期です。ある時期は、財政赤字が悪化するから金利上昇するからと、ドルが買われました。しかし、別の時期には、財政赤字そのものはアメリカのファンダメンタルズが弱いとして、ドル売られました。同じ出来事、事象に対して、マーケットは全く正反対の反応をするのです。
そこで、私は、対マスコミ向けに便利な言葉を見つけました。それは「ファッション」という言葉です。私がシティバンクに在籍した1993年頃のことです。トレーディングの統括部長であった私にマスコミが取材に来るたびに「ファッション」を使いました。実に便利な言葉だなと、我ながら感心、悦に入っていたのを覚えています。
要するに、人間は、自分が見たいように見る、見たくないものは見ない動物のようです。マーケットを追う上でも、あれこれ理屈を付けても仕方がありません。ですから、その時々に、注目されている材料を「ファッション」として判断するのが簡単です。そして、偏見、拘りをなくしてマーケットに臨めば、マーケットの流れに自分を合わせることが出来ます。
見たいもの、見たくないもの、あって当然ですが、どれだけ客観視出来るかが重要です。自分の好きなように解釈するのは、全く自由です。しかし、マーケットの方向はいつも正しいと判断する謙虚さが大切です。この謙虚なスタンスがマーケットで利益を残すための対策でもあるわけです。相場を極めることは、人間を極めることを同一のことかもしれませんね。
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