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マーフィーの日々是好日

「価格」と「コスト」について

今日は、「価格」「コスト」についてお話してみたいと思います。為替相場の価格とは、その価格が「どの時点のものか」によって大いに意味が異なるという点を十分に理解しておく必要があります。どういうことか、具体例として、ここではドル円相場を取り上げてご説明してみましょう。

例えば、1ドル=100円の時にドルを買った人は、1ドル=102円の時点では、ドルが高いと感じる傾向があります。

一方で、1ドル=105円の時にドルを買った人は、1ドル=102円の時点では、ドルが安いと感じる傾向があります。

すなわち、同じ1ドル=102円のドル円レートが人によって違って見えるわけです。

別の方面から解説をしてみましょう。

1ドル=105円前後のコストでドルの買いポジションを持っていた人は、1ドル=103円、102円、101円と下がっていくにつれて、ドルがドンドン安くなっていくと感じます。

そして、1ドル=100円や99円のドルは、とてつもなく安くなったと感じるわけです。

ところが、相場が落ち着き、次第に現在のレートに対して目が慣れてくる中で、相場が上昇し、1ドル=102円程度のレートを見ると、それほど安いと感じなくなります。

1ドル=104円や103円にてトレードしていた人にとっては、102円でも十分に安く感じるわけですが、一旦、100円や99円の相場を見てしまった以上、1ドル=102円の相場が、自分が買うには安いどころか、場合によっては高いとすら感じるわけです。

やがて、103円程度に上昇してくると、もはや買うには高過ぎるとまで感じるケースもあるのです。

このように、例えば、同じ1ドル=102円のレートが、自分が置かれた状況や、それまでの自分のトレードの経緯等々に従って、異なって見えてくるのです。

さらに言い換えると、105円や104円から落ちてくる途上で出現する場合か、それとも、100円や99円から上昇する途上で出現する場合かによって、同じ1ドル=102円が実に異なって見えたり、感じたりするのです。

このように、私達人間の目というのは、ある意味、実にいい加減なものであることがお分かり頂けると思います。相場の「価格」というには、その「価格」が出現する局面によって全く意味が異なるわけであり、「価格」を大きな相場の流れの中で把握してやる必要があるのです。相場の流れ、言い換えると、トレンドを把握することがどれほど重要か、理解する必要があると言えましょう。

また、上記のことは、相場予想を価格だけでもって行うことの危険性も教えてくれます。いつの時点での価格なのか、ということは大きな判断材料であるわけです。相場を、大きな流れの中で捉えることが、如何に大切かと言う点をご理解して頂きたいと思います。

とにかく、価格そのものが高い、安いという判断は極めて危険です。ましてや、自分の持っているポジションのコストと比較して、高い、安いという判断は言語道断です。今目の前にある相場の価格は、「今の現時点」においてこそ判断されるべきなのです。「相場の現在性」の意味合いはそういうことであるとご理解されて頂けると結構かと思います。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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