相場は均衡が崩れた方向に動く
この最近のドル円、クロス円相場は、トレンド性が強まっています。特に、11月14日に野田首相が衆議院の解散の考えを表明し、その後、自民党の安部総裁が積極的な金融緩和策を打ち出したことが市場に対して円安への思惑を生み出し、ドル円、クロス円相場の堅調地合いにつながる「きっかけ」となっています。
ところで、よく、レンジ相場や保ち合い相場ではあまり手を出さない方が良い、トレンドが生まれてから流れに乗るのが良いと言われますが、その根底にある考え方は、相場とは均衡状態では動意が薄く、均衡が崩れると動意が高まるということです。
言い換えると、相場が均衡状態の時、マーケットの中で売り買いしている市場参加者のコストは似たようなものであり、少々の動きがあっても、レンジに収まっている限りは、市場参加者は平静であるということです。
一方、ひとたび、相場が均衡状態から崩れ、上昇か下降か、決まった方向に動き出す場合、評価損を抱えた市場参加者がロスカットに走ることや、新たに生まれたトレンドの流れに乗ろうとする参加者が増えることで、その方向に相場が動きやすくなります。
そして、相場の特性として「加速度」なるものが生じ、買いが買いを生む、売りが売りを生むという展開に変化していき、やがて、トレンドが生まれるわけです。
このような状況になると、普段、レンジ相場の中で小動きに慣れていた市場参加者の多くが恐怖感を覚えるようになります。相場とは、この人間の恐怖感の集合体としての動きとも言えます。そして、買い方、売り方、どちらが優勢かが常に意識されます。
相場の動きを理解するには、そもそもの相場の本質を理解しておくことが大事です。相場とは、膠着相場、レンジ相場、保ち合い相場の局面では、市場参加者はあまり行動を起こしません。しかし、ある方向に動き始めると、次第に市場参加者内に動揺が生まれてきます。
さらに、損失を被るという恐怖、トレンドに乗り遅れるという恐怖、収益を実現し損ねるという恐怖等々が積もり積もって、目の前の相場の動きに影響を与えます。そして、ひとたび、均衡が崩れた時に、相場は一気に動き出すわけです。
と言うわけで、常に、今現在の相場が、買い方が優勢か、売り方が優勢かを見定めておく必要があります。その為のもっともシンプルな道具が「遅行スパン」です。私が「遅行スパン」を最重要視している背景は、上記のことであり、この最近のドル円、クロス円相場についても、トレンド性が生まれたこと、そして、その後継続していることを最も端的に教えてくれているのが、この「遅行スパン」だと言えそうです。
★お知らせ
フェイスブック内、「フェイスブックページ」
http://www.facebook.com/spanmodel
ツイッター
http://twitter.com/murphyfx