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マーフィーの日々是好日

頭と尻尾をくれてやる」の実践的な意味

「頭(あたま)と尻尾(しっぽ)はくれてやれ」というのは、天井(最高値)で売ろうとすると売りそびれ、底値(最安値)で買おうとすると買いそびれてしまうので、あまり欲張らず、ほどほどのところで満足するのが望ましいと言う意味の相場格言です。

この場合は、利食い、手仕舞いを対象にした解釈となりますが、一方で、ポジションメイク(ポジション造成)のタイミングについての格言として応用することも出来ます。

すなわち、そろそろ天井だと思えば少しずつ売り上がり、そろそろ底値だと思えば少しずつ買い下がるという意味に捉えることです。しかしながら、ここで難しい問題が発生します。それは、下手な「値頃感」から、あまりにも手前で売ったり、買ったりしてしまうリスクが高まるということです。

そこで、この相場格言を、よりリスク管理に重きを置いて解釈し直したトレード方法として、例えば、天井を付けたことを確認した後に、下落に転じたと判断した時点で売り、底値を付けたことを確認した後に、上昇に転じたと判断した時点で買うということです。

同じ売るにしても、天井を確認する前に売るのはリスクが高い分、上手くいけばより有利なコストのショートポジションが出来る、もしくは、底値を確認する前に買うのはリスクが高い分、上手くいけばより有利なコストのロングポジションが出来るなど、メリットは大きいのですが、当然のことながら、その分リスクを大きく取ることになります。

しかしながら、このリスクについては、時に大き過ぎることになり、ポジション管理、資金管理が充分に出来ていないと、予期せぬ損失を被るリスクも高まります。その為、初心者の方や精神力の弱い方にはあまりお勧めできません。

一方で、天井を確認した後に相場が下落し始めたことを確認してから売る、もしくは、底値を確認した後に相場が上昇し始めたことを確認してから買うようにすれば、リスクを抑えることが出来る分、より無難なトレードが出来るようになります。

もちろん、出来上がりのコストは、売り上がり、買い下がりよりも悪くはなりますが、下手な「値頃感」からのトレードの確率が下がるというメリットが大きくなります。

結局、売り買いは、腹八分目、腹七分目程度に抑える考えこそが、相場で長く生き延びて、コンスタントに収益を積み上げる為に有効だということを重々理解しておくことが肝要だということです。

ところで、この天井を確認した後に相場が下落し始めたことを確認する、もしくは、底値を確認した後に相場が上昇し始めたことを確認する方法としてお勧めするのが、例えば、(1)スーパーボリンジャーのプラス・マイナス1シグマラインを抜けて引けること、(2)遅行スパンの転換です。

既にご承知の通り、プラス2シグマラインに達した相場がプラス1シグマラインを下回って引けると反落、調整局面入りの可能性が高まること、マイナス2シグマラインに達した後にマイナス1シグマラインを上回って引ける反騰、調整局面入りの可能性が高まるという「ルール」があります。

また、遅行スパンの転換は、相場の基調の変化を示します。つまり、反転下落に転じた相場において、遅行スパンが陰転してくれば、本格下落トレンドに入る可能性が高まること、反転上昇に転じた相場において、遅行スパンが陽転してくれば、本格上昇トレンドに入る可能性が高まるという「ルール」があります。

このように具体的な判断基準を持っているかどうかが、結果に対して、大きな違いをもたらすことになります。尚、これらは全て、スパンモデルやスーパーボリンジャーを用いたトレード方法に含まれるものであり、トレード技術の1つです。

皆様は、これらトレード技術を1つ1つ着実に学び、身に付けることで、「頭(あたま)と尻尾(しっぽ)はくれてやれ」という相場格言を知らず知らずのうちに実践していることになるわけです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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