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マーフィーの日々是好日

よく受けるご質問

個人投資家の皆さまから受けるご質問の中で多いのが、「幾らのコストでポジションを持っていますが、相当な含み損を抱えています。どうすれば良いでしょうか?」というものです。

私が主宰している有料掲示板では、さすがにこの類のご質問にはほとんどお目に掛からないのですが、先ほどのようなご質問を直接頂戴することは最近でも時々あります。1つ特に印象に残っているケースとして、何年か前の話ですが、あるFX会社の社長に頼まれて、その会社のお客様が相談をしたいことがあるとの要望に応えるべく出向いたことがあります。

案の定、その個人投資家であるお客様では巨額の含み損を抱えていらっしゃいました。その金額たるや数千万円に達するものでした。面前、驚きの言葉を出したくても出せませんでした。確か、ポンド円をかなり高い水準のコストでロング(買い持ち)にされていた上、ロスカットせずに、別に売りポジションを建てて、表面的には「両建て」でロックインされている格好でした。

そして、そのお客様は「どうしたら良いでしょうか?」とご質問されたのですが、こちらとしては答えようがありません。本来であれば、もうとっくにロスカットを終えて、下落トレンドに乗ったポジションを持っているべきはずのところだったわけです。

その為、「どうしてここまで含み損が膨れ上がるまでキープされたのですか?」と逆にこちらから質問をお返ししたいところでしたが、ご本人はひどく憔悴しきっておられますので、そういうわけにもいきませんでした。

考えてみれば、そのお客様からの質問には答える術はなかったのです。何故ならば、いつまでも「しこったポジション」を引っ張っているという「ルール」は私にはないからです。従って、「答え」はなかったということです。

そこで、視点を変えて、相場の「イロハ」を1、2時間掛けてお話した覚えがあります。そして、私の「トレードルール」を簡単にご説明したり、私が用いている「トレード技術」をご紹介したりしました。そして、せっかくのご縁でしたので、そのお客様のパソコンに私独自のチャートをインストールさせて頂きました。

さらに、「両建て」は今後、決してやらないことをお勧めします、とお伝えしました。その後、ポジションをどう処理されたかは分かりませんが、世の中には、大なり小なり、似たようなケースがあるのかなと思った次第です。

つまりは、損切りの大切さは知ってはいる、さらに理解してはいるものの、実際にきっちりと実行出来る方は意外と少ないということです。背景理由として、「損切り=悪」だと思っておられるからです。つまりは、「損切り=悪、利食い=善」と言う二元論的発想がベースにあるからとも言えましょう。

実は、この二元論的発想ほど危険な考え方はありません。大事なことは、ポジションは、相場の動きに応じて、買い優勢ならばロングを、売り優勢ならばショートを先行させるということであり、全ては、相場の流れに応じて柔軟に調整することです。すなわち、利食いになるか、損切りになるかは、全て「ポジション調整」の結果であるわけです。

しかしながら、結局のところは、損切りは大切ということをくどくどご説明するよりも、自分の売買ルールを作りましょう、そして、そのルールを徹底的に守ることが出来なければトレードを自粛しましょう、ということをお伝えすることが大事だと思っています。

そして、この「自分の売買ルール」を厳守出来るかどうかは、自分自身が成功したいのか、したくないのかを自問することから始まって、自分の意志がどこまで強いのかに依存するということです。

成功したいのかどうかはあくまで本人の意思次第ですから、本人の人生観とも関わってくるものだと思います。そういう意味では、トレードにおけるメンタル面云々というよりも、もっと基本的な、向上したい、変革したいという意識のあるなしの問題だと言えそうです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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