相場に呑まれるな
「酒に呑まれるな」と言いますが、「相場」にも呑まれてはいけません。
相場に呑まれるとはどういうことかと言うと、例えば、相場が静かな時は、冷静に自分のトレード方針を考えていたにもかからず、相場が大きく動きだすと、途端 に冷静さを失い、荒れ狂う相場の勢いについていけず、自分が当初抱いていたトレード方針のことを忘れてしまうケースのことです。
こんなこともあります。相場が大きく動きだすと、せっかく持っているはずの、自分の相場判断基準やトレード判断の際の売買基準を無視するか、忘れてしまうケースです。まさに、相場の雰囲気に動じてしまって、本来の自分を見失ってしまうことが、相場に呑まれることを指します。大きく相場が動き出し、自分のポジションが評価損を拡大し始めると、頭が真っ白になり、もはや、相場を冷静に見ることが出来なくなります。
そこには、普段の冷静な自分は存在していません。欲、恐怖、怒り、迷いなど、人間の持つ様々な煩悩が剥き出しになってくるわけです。そして、もはや、自分の精神状態をコントロールするなど不可能に近いものとなります。表現は大袈裟かもしれませんが、「狂気の沙汰」の状況に陥るわけです。
そして、同じような失敗を繰り返すことになります。よく勝負の世界で言われる「負けに不思議の負けなし」と言う話と同様のことです。自分でも嫌になるほど、同じ過ち、失敗を犯してしまうわけです。このような例は決して例外ではなく、一般的に多く見られることですが、本人があまり自覚していない場合もあり、たちが悪いケースもあります。
さらに、最悪の場合、自分の失敗をマーケットのせいにしたり、他人のせいにしたりします。普通は、自分の失敗から何かを学ぶものですが、さらに性格が悪くなっていくかのようです。また、残念なことに、このような「相場の呑まれる」精神状態というのは、本人は少々自覚していても、なかなか正常に戻すことが出来ないものです。相場がひと段落してみて、初めてハッとすることもあるぐらいです。
1つ の対処方法としてお勧めすることは、まずは、極力小さなポジションでトレードすることで、徐々に相場の世界の雰囲気になれていくことです。ポジションを持っていない時と、ポジションを持っている時とで、全く判断、行動が異なることがよく見られる通り、人間というのは、それぞれ、自分の許容度というものがあるわけです。
例えば、普段1万通貨単位で取引されている方が1千通貨単位で取引すると、自分の精神状態が、かなり落ち着いていることに気がつかれるはずです。1万通貨で1回しか取引できないのが、1千通貨だと10回も取引出来てしまうのです。俗に言う「ナンピン」も気楽に出来るようになります。しかも、受け身的な逃げ腰の「ナンピン」ではなく、積極的に、サポートゾーンを買い下がる、レジスタンスゾーンを売り上がるといった具合に、戦略的にトレード出来る可能性が高まります。
このようにして、少しずつ、相場の雰囲気に慣れ、また、自分の精神状態を観察して、自分という人間の度量を計ってみることをお勧めします。人間は自分に出来ることしか出来ないものです。その自分がどの程度のことが出来るのか、しっかりと把握しておくことが大切だということです。
自分を知ることで、自分に見合ったサイズのポジションでゆっくりと成長していかれることをお勧めします。その為にも、今回の相場を逃したらもう二度とこんなチャンスは訪れないなどという風に思いこまないこと、そして、自分を追い詰めないことが大事です。相場は永遠になくならないと言うぐらいの考えで丁度良いと思います。
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