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マーフィーの日々是好日

「プライスアクション」に拘ることの危険さ

「プライスアクション」とは、プライス、つまり、価格の動きのことですが、この価格の動きそのものに拘り過ぎることは危険だということです。もっとも、ここで言う、価格の動きというのは、狭義の意味合いを指します。つまり、ティッカーと言われる「価格ボード」上の価格の変化のことです。すなわち、1ティック、1ティック等、細かく動く価格の推移のことを指します。

言い換えると、皆様が、取引されているFX会社が提示している価格そのものの動きにばかり目をやっていると、相場全体の動きを見失ってしまうから危険だ、と言う意味です。デイトレードだから言いだろうとか、スキャルピングなら許されるだろう、と言うのも違います。最近は、各FX会社が提供する価格が「あまりにも良いレート」、つまり、スプレッドが狭い為に、価格ボードの方にばかり目が向かっている個人投資家が多いようです。

大事なのは、相場の動きをより大局で捉えることです。すなわち、チャートを見ながら相場を追っていくことが大事だということです。ここで、大局と言っても、1分足は駄目と言ってわけではありません。もちろん、同じ1分足チャートでも、テクニカル分析手法によって意味合いが異なります。私が言う1分足は、「1分足スパンモデル」のことです。「1分足スーパーボリンジャー」はちょっと短期過ぎると考えます。5分足以上の大きな時間軸の「スーパーボリンジャー」であれば悪くありません。

尚、1分足スパンモデルに、1分足スーパーボリンジャーのプラス・マイナス2シグマラインやプラス・マイナス3シグマラインだけを追加すると便利なチャートとなります。スパンモデルでトレンド方向、押し目買い、戻り売りのレベルを判断しつつ、利食いのタイミングをスーパーボリンジャーのラインで目安をつけていく方法です。いずれにしても、価格ボードにばかり目をやるのではなく、相場の動き全体に目をやる為に、しかるべきチャートを見ることが大切だということです。

一般的に言って、自分の思惑通りに相場が展開しない場合、評価損を抱えることになるわけですが、この「負けトレード」の状態の時に、本人はそのつもりでも、もはや相場をウォッチしていない状態に陥ってしまいがちです。すなわち、相場動向を気にしていると言っても、あくまで価格の推移を価格画面(ティッカー)でおぼろげながら追っているだけに過ぎないわけです。

このように価格を価格ボード(ティッカー)で追って一喜一憂することは、プライスアクションに拘るあまり、結局は、大局観を見失い、相場でもっとも大切な「エントリー」「エグジット」のタイミングを見失いことになってしまいます。本人は、タイミングを見失うまいと、真剣にチャートを見ているようで、もはや、冷静、客観的には見ていないわけです。

心理的には、何故このようなポジションを取ってしまったのだろうかという自己嫌悪と、ロスカットによる損失実現の恐怖から、もはや冷静な判断は出来なくなってしまっているのです。この状況は、相場と戦っているのではなく、自分の恐怖心と戦っているというのが正しい描写だと言えましょう。

そもそも、目の前で点滅する価格を見ていると、相場はどちらに推移してもおかしくないように映ります。まさに、上がるか下がるか50パーセントの確率のゲームにも見えてしまうのです。いわば、丁か半かの「博打」の世界です。

どちらに推移してもおかしくないわけですから、極端な話、その時点で自分のポジションが評価損を抱えて苦しんでいても、価格の瞬間の変化だけに目が向かって いると、ひょっとした自分のポジションの方向に推移するのではないかと錯覚しても当然かもしれません。それほど、「プライスアクション」、つまりは、価格ボード上の価格の推移、変化に拘ることは危険だと いうことです。

先ほど申し上げた「スキャルピング」のように、目の前の数ピップスの利益を狙うトレードスタイルもありますが、確かに、それはそれでプライスアクションに関心が向かうのも仕方ないのかもしれません。ただ、それでも、私は、相場の動きを全体から把握する感覚がないと成功はしないと考えています。

ぜひとも、価格の推移、展開を価格ボードを見つめることではなく、1分足スパンモデルなどのチャート上で価格の変化を追うことで、相場の流れについていく習慣をつけられることをお勧めする次第です。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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