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マーフィーの日々是好日

「スイングトレードの効用」について

「スイングトレードの効用」についてお話してみたいと思います。まず、結論から申し上げると、私は、FXをやるからには、「スイングトレード」がもっとも効率的であると考えています。以下、その理由を挙げつつ、具体的に説明してまいりたいと思います。

まず、「スイングトレード」とは、通常、数日程度で決済するトレードのことを指します。場合によっては、数週間に及ぶケースも含みます。ご存じの通り、トレードは、ポジションをどの程度の期間キープするかによって、「デイトレード」「スイングトレード」「ポジショントレード」に分かれます。「デイトレード」は文字通り、1日の中で完結するトレードです。すなわち、新規注文と決済注文を1日の内に行う為替売買のことです。

一方、「ポジショントレード」とは、一般的に、数週間から数か月に掛けてキープしながら、中長期の相場トレンドを追うトレードであり、収益的にも、比較的大きな値幅を狙うものです。従って、「スイングトレード」は、「デイトレード」と「ポジショントレード」の間に位置付られるものですが、実際のところは、ポジションキープの期間に関して、それほど厳密に定義する必要はありません。

実際、私は、頭の中で、「デイトレード」か「それ以外のトレード」かと分けているぐらいです。要するに、「スイングトレード」にしても、「ポジショントレード」にしても、1日の終値(通常はNY終値)を見て中期的な相場の方向性、トレンドの強弱を判断するものであり、「スイングトレード」と「ポジショントレード」を区別することには、あまり意味がないと考えています。

悪い例として、「デイトレード」をやっていてポジションがしこってしまった(捕まってしまった)ので、その日の内には、売買を完結させず、翌日、翌々日とキープすることで、いつの間にか「スイングトレード」さらには「ポジショントレード」に無理やり変化させていくというご経験をされた方は少なくないと思います。俗に言う「捕まったポジション」を引きづって、いつまでもポジションをキープし続けるという最悪の結果になるということです。これだけは、決してやっていけないことです。

そもそも、1日のマーケットの終値は、NY市場午後5時の時点で決定しますので、東京時間早朝(夏時間は午前6時、冬時間は午前7時)には毎日、「値洗い」して、評価損益を確認するという習慣を付けておけば、健全なトレードが出来ます。

その意味で、毎日朝1回、相場の方向性、トレンドの強弱を判断した上で、ポジション調整をこなしていくことで、「スイングトレード」が結果として「ポジショントレード」になるケースが出てくるわけです。もちろん、この場では、正しい意味合いで説明しています。つまり、日足終値時点で、上昇トレンドと判断される限り、買いポジション(ロングポジション)をキープし、下降トレンドと判断される限り、売りポジション(ショートポジション)をキープするだけのことです。

例えば、日足チャートをベースにしてトレードするのであれば、当然のことながら、日足終値(NY時間午後5時のレート)が確定した段階で日足ローソク足が決定することになり、日足チャートが完成します。そして、日足チャートが完成した時点で、相場の方向性、トレンドの強弱をチェックすることになります。「ポジショントレード」だからと言って、1日の終値時点で、相場をチェック、判断、確認しないわけにはいかないわけです。この点で、「スイングトレード」と「ポジショントレード」の差はほとんどなくなってくると言うことです。

そもそも、FXを行うとは、外国為替相場を相手にするわけですが、相場変動率は、株式相場などに比べて限定的です。限定的であるからこそ、レバレッジなるものを利用して、元手となる資金に対して、その何倍もの取引が出来る仕組みとなっているわけです。ですから、どんなに多忙な方であっても、FXをやっている限りは、1日1回のレートチェックは必須と言えましょう。1日1回のレートチェックを行うのであれば、そして、1日に5分でも取引画面を開ける時間があるのであれば、日足ベースのチャートをベースとして、「スイングトレード」、そしてその延長である「ポジショントレード」を行うことが出来るようになるわけです。


■先ほど、FXの変動率は株式相場に比べて低いという特徴について申し上げました。ここで、私たち日本人にもっとも馴染みのある通貨ペアであるドル円相場について言うと、昨年2009年1年間を通しての高値は101.45円、安値は85.09円であり、その値幅は16.36円でした。今年2010年に関しては、今までのところ、高値は94.99円、安値は80.32円であり、その値幅は14.67円となっています。

はっきり言って、たったこれだけしか動いていないわけです。1年間の値動きの高値と安値を完璧に「予想」出来て、完璧に高値売りの安値買いを実現出来たとしても、たかだか14円や16円程度の利益しか取れないのです。もちろん、当然のことながら、「高値売り、安値買い」など出来るわけはありません。それは、相場の神様が許してくれないからです。一方、「高値買い、安値売り」を実現する確率は一気に高まることから、相場というのは不思議なものです。

尚、ユーロドル相場に関しては、ドル円相場と違い、遙かに大きな値幅でもって推移しています。昨年2009年1年間のユーロドルの高値は1.5145、安値は1.2457でした。そして、今年2010年に関しては、高値は1.4283、安値は1.1876となっています。しかも、その間の動きたるや、上げ下げが激しく、相場変動率は極めて大きなものとなっていることが分かります。もっとも、ドル円相場に関しても、1年間の高値と安値の値幅こそ小さいですが、その途中における相場変動を見ると、何度も上げ下げしているのが見てとれます。

ここで、FXをやるに際して、大切なポイントが分かります。つまりは、中長期の長いトレンドを追って、「ドル高だ」、「いや、これからは円高だ」、「ユーロ高だ」、「いや、ユーロは下がるはず」等々の、余計な「相場観」を持って中長期の相場を追うことは、本当の意味でのFXの醍醐味を失っていることになるのです。

FX、すなわち外国為替相場と言うのは、比較的長期に亘っての上昇、下降について、それほど大きなトレンドは生まれにくいけれども、比較的中期や短期については、上げ下げが頻繁に生じていることに加え、1日24時間動いていることで、「目の前の相場と友達になる」ことで、収益チャンスは無尽蔵に膨れ上がるのです。私が長年付き合っている「外国為替相場」ですが、本来、変動相場制であるにもかかわらず、実際には、基本的に「管制相場」(管理されている相場)であると思っています。

外国為替市場とは、各国政府、金融当局が監視し、国益を考慮しながら、状況に応じて、為替介入もあるなどの点で、株式市場、特に個別株式の市場とは異質であると考えられます。いずれにせよ、FXというものは、このような「外国為替市場」ならではの特徴を背景に成立しているわけで、中長期予想をベースに、中長期のポジションを持っても、残念ながら、効率面からは、うま味は少ないということです。

それでは、いったいどのようなスタンスで臨めば良いのかとなると、先に申し上げた、「スイングトレード」なり、「デイトレード」を組み合わせながらの柔軟且つ機動的な売買が望ましいということです。


■私が普段、「相場予想を行うことは良くない」と申し上げている背景の1つは、そもそも、外国為替相場に対して、ある「相場観」に基づいて、「ポジショントレード」のつもりで、中長期のポジションを取り、そのポジションに固執してしまうことのリスクは決して小さくないということです。毎日の日足終値をチェックすることを前提として行う「スイングトレード」の延長として、「ポジショントレード」を行うのはOKですが、初めから相場の方向性を決めつけてポジションを持つのは極めて危険だということです。

その点、「スイングトレード」であれば、日足はもちろんのこと、60分足をベースとして、相場を分析・判断し、ポジションを造成することで、日中の動きも含めて、「相場の波に乗る」ことが出来ます。この「相場の波に乗る」トレードこそが、相場と友達になることであり、相場と格闘することなく、相場の上げ下げのリズムに自分のポジションをマッチさせながら、相場と踊る感覚が大切です。

その意味で、日中にマーケットに参加出来るのであれば、極力、60分足を駆使するようにして、目の前の相場を追うことが望ましいです。もっとも、60分足チャートと言っても、「スパンモデル」、「スーパーボリンジャー」の場合は、原則的に終値で判断する為、60分毎にレートチェックするだけでもOKです。60分足で目の前で動いている相場を追いながら、日足チャートをチェックして、相場のトレンド、及び、トレンドの強弱を判断して、日足ベースでのポジションも加えながら、相場の波に乗ることこそ、真の意味での「スイングトレード」となるわけです。

このように見てくると、「スイングトレード」は比較的ストレス度が低く、且つ、収益の幅も狙えるという意味で、極めて効率の良いトレードスタイルと言えましょう。あれこれ、「ファンダメンタルズ」を分析して、固定観念に近い格好で、自分の相場観を固めてしまうと、一旦造成したポジションへの執着心は強くなり過ぎます。このようなトレードスタイルは、一歩間違えると、当初のポジションに拘り過ぎて、大損につながりかねません。

FXでは、長期的にはさほど大きく動かない相場を相手にしつつも、毎日、最低でも100ポイントは上下する相場の波に乗ることで、1年を通じて、無限とも言える収益チャンスを得ることが出来ます。繰り返しになりますが、例えば、いくら、ご本人が中長期の相場観を磨いたところで、先に見た通り、ドル円では、高値と安値の差が昨年は約16円、今年は約14円という値幅を狙ってのトレードは努力の割にあまりにも効率が悪過ぎます。

しかも、現実的には、自分の相場観が確かだと確信すればするほど、その相場観とは逆の動きをするのが相場というものです。相場の女神とは、こちらのポジションの都合に合わせて、相場を動かすようなことはしてくれないものなのです。そんな長期の相場観を持って「ポジショントレード」をするぐらいなら、目の前の相場の中で、たとえ短期でもトレンド発生と確認出来れば、そのトレンドにすかさず乗ると言うスタンスが遙かに推奨されます。つまり、その方が、圧倒的に多くの収益機会に恵まれるからです。もちろん、「スイングトレード」の延長として、結果的に、長きに亘って同方向のポジションを持ち続けるのはOKです。この点、誤解なきようお願い致します。

私は、中長期のトレンドを主に時間分析をベースに把握するように努めていますが、全体観を掴んだ後は、日足や60分足を軸に「スイングトレード」するようにしています。そして、結果として、同方向のポジションを数か月に亘りキープすることはあります。ただ、その途上において、ポジションは増えたり減ったりしているわけです。

以上の通り、私は、FXを対象にトレードする限りは、外国為替相場の特性をもっとも生かした「スイングトレード」が効率面で群を抜いていると考える次第です。


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たまにのぞいて頂くと幸いです。ここぞと言う時につぶやくようにしたいとは思っていますが・・。


プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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